第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

ポスター

ポスター18群 身体抑制・身体拘束低減への取り組み

2023年11月8日(水) 13:15 〜 14:15 ポスター会場 (G1-G4)

座長:榑松 久美子

[ポスターY-18-2] 経鼻胃管挿入患者の身体抑制ゼロに向けた看護実践の事例検討

藤井 伽世子, 高田 左代美, 種坂 早苗, 乘松 有紀, 山下 千秋 (倉敷中央病院)

キーワード:経鼻胃管、ミトン、身体抑制、自己抜管

【目的】A 病院B 病棟では経鼻胃管留置している高齢患者へミトンを装着する現状がある。身体抑制ゼロの取り組みの一環としてミトン装着の必要性を判断するフローチャートを作成し、看護実践した学びを報告する。【方法】2022 年7 月~10 月に経鼻胃管を挿入した2 事例の患者の看護実践内容のデータを収集した。A 病院の電子カルテシステムより収集し、得られたデータを帰納的に分析した。倫理的配慮として、対象者に研究協力は任意であり、個人が特定されないように匿名化することを説明し同意を得た。【結果】A 氏は、70 代男性、肺癌、十二指腸狭窄で入院し、体内留置物はイレウス管、末梢静脈内ルート、膀胱留置カテーテルである。入院期間は29 日間で、介入は7 日間である。入院14 日目にせん妄症状がありフローチャートの使用を開始した。肺癌の終末期であり胸痛や呼吸苦が出現していたため、薬剤調整を行った。コロナ禍で面会に制限があり、家族に折り鶴や寄せ書きを持参してもらうとA 氏は喜んでいた。イレウス管のテープは1日1 回貼りかえ、屋上への散歩、新聞の購入など気分転換活動でA 氏は満足が得られた。自己抜管なく経過し入院20 日目にフローチャートは終了した。B 氏は80 代男性、重症肺炎で入院し、体内留置物は経鼻胃管、中心静脈カテーテル、膀胱留置カテーテルである。入院期間は21 日間で、介入は10 日間である。入院10 日目に集中治療室から退室し、フローチャートの使用を開始した。せん妄症状があり、入院14 日目に経鼻胃管を自己抜管した。入院15 日目に経鼻胃管を再挿入後ミトンの装着拒否があり、フローチャートで再検討しミトンを装着しなかった。しかし同日せん妄症状があり、2回目の自己抜管が発生した。B 氏に経鼻胃管の必要性について説明を行い、ミトンは装着しなかった。B 氏に鏡で経鼻胃管を毎日見てもらい、必要性を何度も説明した。家族と電話で会話し、テレビの視聴やリハビリで生活のリズムを整えた。入院19 日目に経鼻胃管は不要となり抜去し、フローチャートの使用を終了した。【考察】経鼻胃管挿入患者の身体抑制ゼロに向け、身体的・精神的苦痛を軽減し、せん妄予防策を行うことが重要と再認識した。せん妄予防策では生活リズムを整え、患者が大切にしていることを尊重した関わりが重要だった。患者あ経鼻胃管の必要性を理解できるよう促し、不要な留置物の早期抜管を多職種で検討することが重要だった。