第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

ポスター

ポスター18群 身体抑制・身体拘束低減への取り組み

2023年11月8日(水) 13:15 〜 14:15 ポスター会場 (G1-G4)

座長:榑松 久美子

[ポスターY-18-3] 部署内抑制ZEROに向けて取り組んだ成果

佐藤 よし子, 深野 恵利子 (済生会横浜市南部病院)

キーワード:倫理、行動抑制、身体拘束

【目的】急性期病院の内科混合(血液内科、呼吸器内科、糖尿病内分泌内科、リウマチ膠原病内科)病棟であるA 病棟において身体拘束、行動抑制を0 件にするためのプロジェクトを展開した。その成果について報告したい。【方法】病棟内でプロジェクトメンバーを募った。次に、取り組むべきプロジェクトとして、せん妄予防、抑制カンファレンス方法の検討、胃管挿入必要性の検討、環境整備の徹底、転倒転落リスクアセスメントの見直しについて、の5 つをあげた。メンバーそれぞれがプロジェクトリーダーとなり、PDCA サイクルを回しながら、課題と実践を会議で共有し、病棟スタッフが行動抑制、身体拘束0 件に向けて行動ができるようにプロジェクトを進行した。【結果】せん妄予防については、すぐに強い鎮静薬を使用するというよりも、睡眠導入剤の妥当性の検討や予防ケアを検討できるようになり、日中にただ離床するだけでなく、リアリティオリエンテーションの意味を考えて介入ができるようになった。また、やむを得ず抑制が必要になるケースでは、できるだけ早期に終了できるよう、看護介入について、どうしたら身体拘束が終了できるかという視点でカンファレンスの検討がされるようになった。胃管挿入のケースでは、これまで身体拘束する機会が多かったが、リスクアセスメントを行い、長期留置の場合にも身体拘束することなく過ごすことができていた。環境整備については、望ましいベッド環境と転倒転落のリスクのある環境の写真をポスターに対比させて掲示し、自己抜去を予防するためのルート整理についてもポスターに提示したことで、統一した環境整備が行えるようになった。転倒転落リスクアセスメントの見直しは、せん妄予防を実践する中で、離床をすすめる上で元のADL について関心をもって情報収集や共有が行われるようになった。結果的に、プロジェクトが進行するにつれ、行動抑制、身体抑制0 件を維持できるようになった。また、1 ケースで行動抑制、身体拘束が開始された場合の施行した日数が減少した。【考察】行動抑制、身体抑制を減らすのではなく、0 件にすることをプロジェクトミッションに掲げ、それが部署全体へ浸透したことで件数が減り、減ったことで行動抑制、身体拘束を行っているケースが浮き上がる形となり、早期に抑制が終了されることと件数を0 件にすることに結び付いたと考える。