第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

ポスター

ポスター18群 身体抑制・身体拘束低減への取り組み

2023年11月8日(水) 13:15 〜 14:15 ポスター会場 (G1-G4)

座長:榑松 久美子

[ポスターY-18-5] 身体抑制カンファレンスシート使用による看護師の身体抑制に対する考え・判断要因の変化

今野 深雪, 浅野目 若奈, 海藤 由佳, 相馬 恕杏 (山形県立中央病院)

キーワード:身体抑制、ICU、カンファレンスシート

【目的】A 病院B 病棟では毎日身体抑制カンファレンスをしているが、身体抑制は担当看護師の判断に任されることが多い。身体抑制カンファレンスシートを作成し使用することで、身体抑制に対する看護師の考え・判断要因の変化を明らかにしたいと考えた。【方法】身体抑制カンファレンスシート使用前後で独自に作成したアンケート調査を実施した。アンケートは「あてはまる」「少しあてはまる」「あまりあてはまらない」「あてはまらない」の4 段階とし、単純集計し身体抑制カンファレンスシート使用前後で比較した。本研究の実施にあたっては、A 病院の看護研究委員会の倫理審査で承認を得た。研究対象者であるA 病院B 病棟看護師へは研究の趣旨、目的、方法を理解した上での自由参加であることを説明した。【結果】対象者26 名に配布し身体抑制カンファレンスシート使用前後ともに20 名から回答を得た。(回収率76.9%、有効回答率100%)「身体抑制に対する看護師の考え」では、[身体抑制について話し合える雰囲気がある]は「あてはまる」が35%から75%に[他の看護師も身体抑制をしている患者を気にかけてくれていると感じる]は「あてはまる」が35%から60%に増えた。[インシデントレポートを書きたくない]は「少しあてはまる」が15%から60%に増えた。[患者の安全を守るためには身体抑制は必要][マンパワー不足時には身体抑制が必要]は使用前後ともに「あてはまらない」は0%だった。「身体抑制を実施する際の判断要因」では[IABP、PCPS 挿入中である]は「あてはまる」が55%から90%に[見守りができない状況]は「あてはまる」が55%から80%に増えた。「身体抑制に対する看護師の考え」「身体抑制を実施する際の判断要因」ともに「あてはまる」が減少した項目はなかった。【考察】身体抑制に対する考えでは、身体抑制カンファレンスシートを使用したことで、他のスタッフの多様な視点から患者に合った目標を立案・評価することが出来たと考えられる。また、身体抑制を実施することに迷いを感じながらも他スタッフと身体抑制カンファレンスをすることで思いを共有する機会となったと考える。身体抑制を実施する際の判断要因では生命の維持に直結するチューブ挿入中やルート類の自己抜去の危険のある患者、スタッフの状況をアセスメントし身体抑制の必要性を見極めるようになったと考える。