第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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ポスター

ポスター22群 精神看護

Wed. Nov 8, 2023 1:15 PM - 2:15 PM ポスター会場 (G1-G4)

座長:中澤 範子

[ポスターY-22-2] 精神科看護師が日勤帯で受ける言語的暴力の実態と職場内でのストレスコーピング

大金 彩花, 則村 良 (駒木野病院)

Keywords:言語的暴力、メンタルヘルス、院内暴力、精神科看護

【目的】精神科看護師が受ける言語的暴力の実態とそれに対する職場内でのストレスコーピングを明らかにすることを目的にした。これにより看護師のメンタルヘルスのサポートについて示唆を得ることができると考える。【方法】対象者は1 施設の単科の精神科病院に勤める看護師で、質問紙を配布し留置法で回収した。質問項目は対象者の属性である性別、年齢、看護師経験年数、精神科経験年数等、言語的暴力の有無と回数、その時間や場所、状況、内容、その時に実施したストレスコーピング(以下、コーピング)である。言語的暴力とコーピングは1 ヵ月の調査期間のうち任意で3 日日勤帯を選択してもらい、勤務開始から言語的暴力に遭遇する毎に自由記述で記載を依頼した。分析は記述統計とマン・ホイットニーのU 検定、カイ2 乗検定、適合度検定を実施した。倫理的配慮:所属施設の倫理委員会の承認を受け実施した。【結果】質問紙を162 名に配布し、有効回答の67 名を分析の対象にした。男性22 名、女性45 名、年齢の中央値は34 歳だった。看護師経験年数の中央値は10 年、精神科経験年数の中央値は9 年だった。3 日のうちに言語的暴力を受けた者は23名、受けなかった者は44 名だった。言語的暴力を受けた回数は35 回、1 日あたり0.2 回だった。言語的暴力を受けた群と受けなかった群に分けカイ2 乗検定、マン・ホイットニーのU 検定をした結果、言語的暴力を受けることと属性との関連性はみられず、2 群間で経験年数等の差はみられなかった。適合度検定の結果、言語的暴力を受けた場所、状況、言語的暴力の内容、使用していたコーピングの種類の比率に有意に偏りを認めた。具体的な比率は、言語的暴力を受けた場所はステーションカウンター(34.3%)と患者自室(31.4%)で約65%だった。状況は不意にが51.4% で、言語的暴力の内容は容姿を否定するもの(28.6%)と人格否定(25.7%)で50%以上となった。使用していたコーピングの種類は認知的再評価型コーピングが45.2% だった。【考察】性別、年齢や経験年数に関係なく言語的暴力を受けるリスクがあるので、就業にあたり言語的暴力に関する知識など教育的プログラムが必要であると考える。言語的暴力に対して一人で対処を試みる傾向があるので、言語的暴力を受けることについてスタッフ内で気持ちの共有や対策を検討できる場が必要であると考える。