第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

ポスター

ポスター23群 住み慣れた地域に戻ることへの支援①

2023年11月8日(水) 14:30 〜 15:30 ポスター会場 (G1-G4)

座長:牛田 貴子

[ポスターY-23-2] A 病院の看護師が入院3 日以内に行う退院困難要因のスクリーニングの実態調査

小野 五月, 小泉 みさ子, 田中 恵梨子 (聖隷三方原病院)

キーワード:退院困難要因、スクリーニング、入退院支援

【目的】本研究の目的は、A 病院の看護師が入院3 日以内に行う退院困難要因のスクリーニングでどのような要因を抽出し、どのような患者を退院支援必要有りと判断しているのかを明らかにすることである。これにより、病院から地域へのスムーズな移行を促す退院支援に必要な視点が得られると考える。【方法】1. 対象:2022 年4 月1 日から2023 年3 月31日の1 年間に入院した患者。2. データ収集:電子カルテ内の「退院総合評価・退院支援計画書」を用いて、退院困難要因のスクリーニング結果と退院支援の必要性の有無を抽出する。3. 分析対象データ:基本データ(年齢、実施月、緊急・予定入院等)。退院困難要因(入退院を繰り返している、内服管理できない、介護者不在、退院時に予想される医療処置有、元の生活への復帰に支障有等)とスクリーニング結果(退院支援の必要の有無)。4. 分析方法:1) 平均年齢算出。2) スクリーニング実施月、年齢、退院支援必要の有無で集計し、退院困難要因との関連性検討。5. 倫理的配慮:個人情報保護、結果公表を情報公開文書で説明した。【結果】1. 対象患者の総数は13376 名、平均年齢65 歳、緊急入院6472 名、予定入院6786 名。2. スクリーニング結果は「退院支援の必要有」10148 名(総数に占める割合75.9%)、「退院支援の必要無」3169 名(23.7%)、「未入力」59 名(0.4%)。看護師が退院にむけた支援が必要と判断した患者の年齢は、70 代が2897 名(退院支援の必要ありに占める割合28.5%)、80 代が2381 名(23.5%)、60 代が1474 名(14.5%)の順に多かった。退院困難要因は、内服管理できない3603 名(35.5%)、元の生活への復帰に支障有2883 名(28.4%)、入退院を繰り返している1760 名(17.3%)、退院時予想される医療処置有1692 名(16.7%)、介護者不在1432 名(14.1%)の順に多かった。【考察】A 病院では入院患者の7 割以上が退院支援の必要が有り、その半数以上が高齢者であった。医療処置、セルフケア不足、介護のマンパワ不足が主な退院困難要因であり、患者・家族への処置指導、サービス調整、訪問看護・訪問薬剤による療養支援など、患者と家族の状況に合った支援を地域関係者と連携しながら早期開始することが病院から在宅への移行期の支援では重要と考えた。