第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

ポスター

ポスター25群 住み慣れた地域に戻ることへの支援③

2023年11月8日(水) 10:30 〜 11:30 ポスター会場 (G1-G4)

座長:吉村 浩美

[ポスターY-25-3] 睡眠障害のある医療処置が多い患者に対する退院支援

松本 暁子, 吉村 恵美 (三重県立一志病院)

キーワード:睡眠障害、退院支援、眠剤調整

【目的】睡眠障害があり医療処置が多い患者に対し、眠剤調整を行い自宅退院が可能となった事例を振り返り検討する事は、今後の退院支援の参考になると考えられる。本事例では睡眠障害がある患者に対する有効な退院支援について検討する事を目的とした。【方法】事例検討。A 氏は80 歳台の女性。元々自立した生活を送っていたが心不全増悪にてNPPV の常時装着が必要となり、退院調整目的でB 病院に転院した。高カロリー輸液を投与し、バルーン挿入中で医療処置が多い状態であった。A 氏は眠剤を内服していたが、中途覚醒あり夜間にナースコール頻回で訴え多く、夜勤勤務者も対応困難感を抱えていた。数日間の試験退院でもA 氏は夜間覚醒し、介助者である看護師の長女も不眠となり疲労の訴えがあり、日中の長女による介護にも支障をきたす状態であった。本事例では、A 氏の電子カルテの経過記録で睡眠状況、服薬状況を中心に振り返り、有効であったと考えられる退院支援について検討した。A 氏の家族に、研究の意義やプライバシーの保護等の説明を行い、書面で同意を得た。【結果】A 氏の日中の覚醒を促すためにベッド上でリハビリを行っていたが、心不全症状があり、それ以上の活動を増やす事は困難であった。環境調整のため日中にテレビをつけていたが、傾眠あり効果はなかった。夜間に不安の訴え有るため、主治医と相談し、抗不安薬を開始したり夜間テレビをつけたままにしたりしていたが効果は少なかった。担当看護師は眠剤の研修で知識を得て、主治医や他スタッフとカンファレンスを行い、依存性やせん妄リスクの少ない眠剤を選別し投与量も調整したところ、7 日目頃には、夜間中途覚醒はあるがA 氏から「まあまあ寝れたよ」との言葉が聞かれ、夜間のナースコールも数回程度になった。連日良眠できた事を確認し、退院前カンファレンスを行い、日中に医療処置ができるようなスケジュールを組み、65 日目で退院となった。【考察】医療処置の多い患者は、自宅で介護をする家族も負担が大きい。患者が夜間良眠する事は、介護者の睡眠の確保につながり、介護者の負担が減少し患者の自宅生活を継続する事につながる。今回、担当看護師が眠剤の知識を得て、多職種で情報共有し眠剤調整を行った事でA 氏が良眠できるようになり、長女の介護疲労を最小限にする事ができ、自宅で生活したいというA 氏の願いが叶えられたと考えられる。