第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

ポスター

ポスター27群 健やかに生まれ育つことへの支援①

2023年11月8日(水) 14:30 〜 15:30 ポスター会場 (G1-G4)

座長:大瀬 富士子

[ポスターY-27-2] 寝たきりの21 トリソミー児を持つ母親の思いに沿った看護支援

小西 朝陽, 馬場 恵子 (滋賀県立小児保健医療センター)

キーワード:重症心身障害児、21 トリソミー、家族支援、家族の思い

【目的】今回児の体調の変化により家族の気持ちの揺れがあった事例に関わった。母親の思いや不安に対する看護を経時的に分析・検討し、今後の家族支援への示唆を得る。【方法】10 歳代のA 君は21 トリソミー・脳性麻痺・てんかんがあり、寝たきりでADL は全介助である。50 歳代の母親と病棟の看護師を対象とした。カルテ記載から母の言動の中で不安や思いについて語られている場面と看護師の対応、その後の母の反応や行動の変化、表情の変化を抽出した。さらに入院中の外泊などのイベントごとに経時的にまとめ、どのように看護支援につながったのか分析する。患者や家族に研究の目的、研究の中で個人が特定されないようプライバシーに配慮することを説明し了承を得た。院内倫理審査委員会の了承を得た。【結果】患児は感染による呼吸状態の悪化、排痰目的に入院となる。脳波検査の結果が以前の結果と比較して著明に改善しており、生活リズムや睡眠リズムに変化が生じた。入院当初、母は児の体調面に関する不安と自身の生活面での疲労感を訴えることが多く、また児の声の出し方などについて、母と看護師での捉え方に相違があった。そこで看護師は母の言動を細かく記録に残すようにした。主治医と相談の上、自宅での生活リズムに合わせて内服時間や呼吸器の着脱を調整し、平日は学校に登校できるように調整した結果、入眠時間は徐々に確保できた。定期的に外泊を行い、発熱や途中覚醒時も母にて対応することができた。当初口数の少なかった母から主治医との面談や面会の中で、21 トリソミーに脳性麻痺を合併し寝たきりという児の疾患の対する思いや医療的ケアや内服が増える事に関して、母自身の負担と児の体への負担を心配するという思いの表出が出てきた。看護師は傾聴し、内服に関する事は主治医、呼吸器関連は臨床工学技士など多職種と連携し、母の不安の軽減に努めた。退院後の生活を見据え、訪問看護ステーションとの連携を図った。【考察】面談や面会の中で家族に寄り添い、家族も看護ケアの対象であるため、家族のニーズも満たせるように児のケアを行ってきたことが、母が言葉として思いを表出することに繋がった。自宅での生活リズムに合わせたケアの調整を行い睡眠リズムが整ったことが、家族のニーズを満たすことに繋がった。家族全体としての健康維持機能を高め家族のニーズを満たす看護支援を行うことで行動に変化が生じ、家族支援につながる。