第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

ポスター

ポスター29群 医療安全①

2023年11月9日(木) 09:00 〜 10:00 ポスター会場 (G1-G4)

座長:髙橋 久美

[ポスターY-29-2] 離床センサー解除に向けたフローチャートの作成

岩根 七海, 矢野 亜矢 (大分県立病院)

キーワード:離床センサー、解除、フローチャート

【目的】フローチャートを用いることで、看護師が同じ視点で離床センサー解除の判断が行えるか明らかにする。【方法】離床センサー解除に向けたフローチャートを作成し、スタッフカンファレンスで内容を検討し改良した。改良したフローチャートに沿って実際の患者でアセスメントし、判断に迷った分岐点はないか、追加項目はないか検討した。本研究はA病院の倫理委員会の承認を得て行った。【結果】初版のフローチャートは「ナースコールを安定して押せる」から開始したが、認知症患者は行動に一貫性がないため一場面では判断できないという意見があり改良した。2 版のフローチャートでは「ルート類を認識できる」から開始するように変更したが、留置物がない時もあり判断に迷った。また、認知症の診断がなくても年齢から認知機能や日常生活動作(以下、ADL とする)をアセスメントしたり、薬剤や術後の疼痛などの影響でADL が低下したりすることがあり判断が難しいという意見が出た。改良した3 版のフローチャートを用いて全身麻酔または腰椎麻酔の術後に離床センサーを使用した患者8名をアセスメントし、看護師が迷うことなく、離床センサーの必要性について判断することができた。患者の平均年齢は82.5歳であり、認知症の診断はないが加齢に伴う認知機能の低下がある患者4 名、せん妄患者3 名、認知症患者1 名であった。【考察】高齢者は臓器の予備能力の低下により手術侵襲が大きく、さらに判断力の低下や環境への不適応により、せん妄を生じやすい。せん妄や認知機能の低下により幻覚や見当識障害を生じ、ルート類を認識できないことがある。ADL 障害は認知機能障害に伴い生じる幻覚や抑うつなどに影響され、複雑な様相を呈することが明かになっている。また、疼痛や薬剤の影響によりADL や認知機能が低下することもあるため、「ルート類を認識できる」など一場面だけで判断することは困難であったと考える。改良したフローチャートでは「ルート類を認識できる」以外に、「靴を認識して履くことが出来る」「意識レベルの低下がある」と複数の場面に分けたことで、看護師が認知機能について多方向からアセスメントでき、離床センサー解除の判断を行うことができたと考える。