第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

ポスター

ポスター30群 医療安全②

2023年11月9日(木) 10:30 〜 11:30 ポスター会場 (G1-G4)

座長:渡部 節子

[ポスターY-30-1] A 病院の摂食嚥下障害に関するインシデント・アクシデントの現状

青山 真弓, 三橋 力輝斗, 尾崎 万記, 高田 友香, 平井 美帆, 高澤 智桂子, 内海 美奈子, 鳴澤 美恵, 水元 明裕, 大上 研二 (東海大学医学部付属病院)

キーワード:摂食嚥下障害、インシデント、アクシデント、経管栄養チューブ、口腔周囲医療機器圧迫損傷

【目的】摂食嚥下障害は、誤嚥や窒息、低栄養や食べる楽しみの喪失など精神面への影響も引き起こす。そこで、摂食嚥下コアナースを発足し、摂食嚥下ケアを推進してきた。しかし、リスクマネージメントの視点を踏まえたケアの推進に至っていないことが課題である。そこで、摂食嚥下障害に関連するインシデント・アクシデントの発生状況を明らかにすることで、現行ケアの見直しの示唆を得たいと考えた。【方法】2021 年8 月2 日~ 2022 年2 月2 日の期間に摂食機能療法を実施した全569 名の中、摂食嚥下障害に関連するインシデント・アクシンデントが発生した患者88 名を対象とする。誤嚥・窒息・栄養チューブ自己抜去後再挿入不要例・口腔周囲の医療機器圧迫損傷(以下MDRPU)のインシデント・アクシデント発生数、栄養チューブ再挿入不要例の事象前後の栄養経路、MDRPU 発生部位・関連医療機器・経口摂取の有無についてExcel による単純集計を行った。本研究は臨床審査委員会の承認を得て実施し、個人情報保護法に基づき、データを他の研究に転用しない事、データ収集により得た情報については守秘義務を負う事とする。【結果】誤嚥・窒息・栄養チューブ自己抜去後再挿入不要例・MDRPU におけるアクシデント発生数0 名。誤嚥・窒息のインシデント発生0 名。経管栄養チューブ自己抜去患者69 名中13 名(19%)が再挿入不要例であり、その中の77%が経口単独に移行していた。バイドブロックや挿管チューブにより、口唇・舌・口角に損傷を認めた患者が19 名(22%)存在し、その後、経口摂取に移行したのは、5 名(26%)であった。【考察】この期間におけるアクシデントは、0 名であり、誤嚥・窒息のインシデントも0 名であった。栄養チューブ自己抜去後再挿入不要患者の77%が経口単独に移行できており、チューブ抜去に伴う嚥下機能の改善や経口単独で栄養を確保できる状態であったことが示唆される。摂食嚥下に重要な組織である舌・口唇の損傷を認めた患者が22%存在しており、MDRPU 発生への予防ケアの推進が必要である。今回、現状を把握した事で、経管栄養チューブによる嚥下への弊害やチューブ抜去の目安、口腔周囲のMDRPU の予防方法を推進するとの現行ケアの見直しの示唆を得ることができた。