第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

ポスター

ポスター34群 創傷ケア①

2023年11月9日(木) 10:30 〜 11:30 ポスター会場 (G1-G4)

座長:遠藤 智弘

[ポスターY-34-4] A 病院の弾性ストッキングによるMDRPU が発生する要因について

吉田 真愛, 中島 育美, 有馬 美奈, 田中 裕美子 (がん・感染症センター都立駒込病院)

キーワード:弾性ストッキング、MDRPU、要因探索研究

【目的】弾性ストッキング(以下ES)による医療機器圧迫損傷(以下MDRPU)の予防に努めているにも関わらず、毎年数件の発生があるため、ES に限定したMDRPU が発生する要因を明らかにする。【方法】A 病院の外科病棟に1 年以上在籍している看護師(125 名)を対象に質問紙調査を行った。倫理的配慮として質問紙は無記名であり、調査後の質問紙はシュレッダー処理を行うことを説明した。基本属性、研修体制、職務環境、意識(心理的状況)を独立変数、ES の実践力の認識(知識・アセスメント力・実践)を従属変数とした。各変数について記述統計を行い、有意確率に関して単変量解析はp<0.01、重回帰分析はp<0.05 とした。統計学的分析はPearson の相関分析などを用い、単変量解析関連の見られた変数には、重回帰分析(強制投入法)を行った。【結果】質問紙の回収率73.0%のうち、有効回答率91.7% であった。ES装着方法は、57%が先輩看護師からの指導で学んでおり、単変量解析における「実践の項目でのみ関連がある」という結果と矛盾しなかった。単変量分析では、意識(心理的状況)の独立変数に関連が多くみられ、中でも「ES の褥瘡発生リスクの認識の有無」(r=0.8)が最も高かった。最終的に重回帰分析で関連があった説明変数は「ES の正しい装着方法」「勉強会で得た知識」「外すタイミングのカンファレンス」「他看護師からの実践に関する指導」などの6 つであった。「外すタイミングのカンファレンス」は単変量解析では相関係数が0.3 と低かったが、重回帰分析では唯一、知識・アセスメント力・実践の全ての項目で高い関連がみられた。【考察】ESの実践力の認識として「先輩看護師からの指導」に関連したのは“ 実践” のみであり、“ 知識” や“ アセスメント力” は経験値ではなく知識として補う必要性が裏付けられた。また、意識(心理的状況)の独立変数に関連が多いことから、ESの実践力の認識があっても、意識(心理的状況)が伴わなければMDRPU は発生すると考えた。「外すタイミングのカンファレンス」が重回帰分析で唯一全ての項目で関連があったことより、知識があれば、正常と異常、外すタイミングについても判断し、そのためのカンファレンスを行えるのではないかと考える。今回得られた6 つの説明変数は、ES によるMDRPU が発生する要因だと示唆された。