第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

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ポスター

ポスター39群 倫理

Thu. Nov 9, 2023 1:15 PM - 2:15 PM ポスター会場 (G1-G4)

座長:平井 和恵

[ポスターY-39-6] A 病院看護師の倫理的課題に基づく人材育成の組織的取り組み(第2報)

―継続教育に語る会を取り入れて―

福澤 郁予1, 田口 里美1, 冨田 和代1, 岩田 由美子1, 砂畑 文子1, 石腰 由美1, 岩佐 直美1, 中林 等美1, 橋本 麻由里2, 太田 沙也佳1 (1.JA 岐阜厚生連飛騨医療センター久美愛厚生病院, 2.岐阜県立看護大学)

Keywords:語る会、意思決定支援、倫理的感性、人材育成、継続教育

【目的】第1 報の研究から、A 病院の倫理的課題として、意思決定支援についての組織的な人材育成の必要性が明らかとなった。本研究の目的は、意思決定支援の体験での思いを自由に語り合う場を作り、個人の気づきを深めることを組織的な人材育成と捉え実践し、今後の継続教育の方法に示唆を得ることである。【方法】A 病院看護師(各部署3 名、約30 名)を対象に、「意思決定支援について語る会」(以下語る会)を実施した。終了後、感想シートの記載を依頼し、内容を量的・質的に分析した。また、語る会1 か月後に、語る会の人材育成としての意義を評価するため、参加した看護師を対象にグループインタビューを実施した。内容は、対話を通して感じ・考えたこと、参加後の看護実践の変化について、許可を得て録音し、逐語録を作成し質的に分析した。参加は自由意思とし、データは個人が特定されないよう匿名化する旨を説明し紙面で同意を得た。【結果】語る会は1 グループ3 名程度で実施し29 名が参加した。終了後の感想シート(回収率89.6%)では、自由に語り、気持ちを受けとめてもらえたかについて「思う」19 名、「まあまあ思う」7 名であった。感想を整理した結果、印象に残ったことは<意思決定支援の難しさ><皆が悩みながら支援していると気づけた>等、参加して気づいたことは<患者・家族の思いに寄り添い支援すること><自らの思いを語り合うことの大切さ>等であった。グループインタビューは1 グループ3 名程度で実施し16 名が参加した。対話を通して感じ・考えたことでは<思いを尊重した支援><経験を語り合う機会を持つ意義><自分と看護実践の内省><受容される安心感><メンバーとの思いの共有・共感>等の7 項目であった。語る会参加後の看護実践の変化は<患者への関わり><家族への関わり><患者の想いの共有・反映の方法>等8 項目であった。【考察】経験や思いを語る取り組みは、これで良かったのかという消化しきれない思いや、部署が違っても同じ悩みがあることを参加者間で受け止める機会となり、参加者間の共同的な内省の機会となった。また、語りを通して肯定される体験は、今後の実践に向けての前向きな思いや、看護実践の変化に繋がっていた。以上のことから、問題解決を目的としない経験の語りや対話は、倫理的課題に対する組織的な人材育成の取り組みのひとつとして重要な意義があると考えられた。