第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

ポスター

ポスター7群 ポストコロナ社会の看護への示唆~看護の改善への取り組み①~

2023年11月8日(水) 14:30 〜 15:30 ポスター会場 (G1-G4)

座長:谷口 理恵

[ポスターY-7-2] 隔離入院となった患者の療養環境に関するストレス

―新型コロナウイルス感染症(COVID19)に罹患して―

白石 千夏, 田中 理恵子 (東京都立荏原病院)

キーワード:ストレス、感染隔離、療養環境

【目的】2020 年1 月から新型コロナウイルスは世界中で感染が拡大し、A 病院は多くのCOVID-19 患者を受け入れた。本研究の目的は、隔離入院となった患者のストレスの内容を明らかにし、看護師が療養環境の調整や改善を図るための一助とする。【方法】2021 年7 月1 日~ 2022 年3 月31 日にCOVID-19 病棟に入院していた意識が清明な患者を対象とし、川口氏らの「入院患者のストレス要因に関する検討」を参考に、入院環境の中でストレスであった場面19 項目と、医療者からの説明、プライバシーに関する項目のアンケートを作成。男性:250 名、女性:250 名に4 段階の選択肢を用いたアンケート調査を行い、平均値を算出しデータ化した。本研究は、個人が特定されないよう配慮した。【結果】有効回答率は31%。有効回答は男性84 名、女性70 名、計154 名、平均年齢49.2 歳。集計結果では男女共「自由に買い物ができない」が男性で37%、女性で42%。年齢別でも「自由に買い物ができない」が高値であったが、30 歳代のみが「入院して周りに迷惑をかけていると感じる」「離れている家族について不安になった」の回答が多かった。自由記述では、医師からの病状説明不足、看護師からの入院説明不足など患者と医療者とのコミュニケーション不足、配慮不足がみられた。プライバシーの状況についてカーテン隔離により守られていたと感じる患者は多かったが、カーテン1 枚で話しが筒抜けと「守られていなかった」が少数あった。【考察】入院により、隔離された環境下での生活は、患者が強くストレスを受ける場であった。年齢別では30 歳代で仕事をする上での不安、家庭生活の不安が成年期の特徴として出現している。退院後の生活を考慮し、入院中多職種との連携を図るなど、退院後の社会復帰の整備が必要と考えられる。感染隔離された患者と医療者とのコミュニケーション不足では、患者と医師との連絡調整、患者の思いを十分表出できる環境を整えることが必要である。患者は想像以上のストレスが加わることをよく理解し、患者に寄り添い、具体的な入院生活のイメージができるよう、オリエンテーション内容の見直し検討の必要性がある。また個人情報を保護するという認識のもと、看護師は声の大きさや周囲の状況に配慮しなければならない。