第54回(2023年度)日本看護学会学術集会 横浜

講演情報

ポスター

ポスター7群 ポストコロナ社会の看護への示唆~看護の改善への取り組み①~

2023年11月8日(水) 14:30 〜 15:30 ポスター会場 (G1-G4)

座長:谷口 理恵

[ポスターY-7-3] 手指衛生の実施率・遵守率向上に向けた取り組み課題

―意識調査からの一考察―

山本 希, 長富 美恵子, 杉山 美和, 持田 奈津美, 荻島 真弓 (順天堂大学医学部附属静岡病院)

キーワード:手指衛生、感染対策、リンクナース教育

【目的】A 病院における看護師の手指衛生に対する意識と手指衛生の状況を知り、実施率・遵守率の向上に向け、看護部感染対策委員会としてリンクナースの取り組むべき課題を見出す。【方法】A 病院の看護師610 名を対象に、手指衛生の手順やタイミング、感染対策マニュアルの活用や自部署の手指衛生回数目標値が周知されているかなどの意識調査を行うと共に、WHO(世界保健機関)が推奨する5 つの場面で手指衛生の行為ができている割合を実施率、正しい手技・タイミングで実施できているかを遵守率とし、リンクナースによる手指衛生直接観察法の実施率・遵守率と、ICN(Infection Control Nurse)による実施の差異結果から、管理者として看護師教育への課題を見出す。意識調査に使用した情報は個人が特定されないように配慮し、A 病院看護部倫理審査会の承認を得て実施した。【結果】手指衛生の手順は99%ができている、タイミングは96%ができていると回答。一方で手荒れがあると回答している割合が46%と約半数を占めている。おむつ交換時の汚染物の取り扱いや、体液暴露後の手指衛生の実施は94%が実施できていると回答。自部署の手指衛生回数目標値は、84%が理解していると回答した。感染対策マニュアルの活用方法は88%が理解していたが、感染対策マニュアルの存在を知らない回答者も少数あった。リンクナースが実施した手指衛生実施率は78%、遵守率は50%であった。ICN が実施した手指衛生実施率は57%、遵守率は32%であった。【考察】リンクナースとICN が実施した手指衛生の実施率と遵守率には差異がみられた。手指衛生の手順やタイミングはできていると回答している一方で約半数の看護師が手荒れを生じていることから、消毒剤の使用量が十分でなく、適切な手指衛生ができていないことがリンクナースとICN の実施率・遵守率の差異の要因と考える。また、リンクナースが直接観察法を実施する際、できている場面を見て評価していること、5 つのタイミングと一致できず正確な場面をとらえての監査ができていないことも要因と考える。手指衛生は感染対策の標準予防策で、最も基本かつ重要な行為のため、リンクナースのリーダーシップの強化、直接監査後のフィードバック、院内感染対策マニュアルを活用し、院内の指針に沿った教育的支援が必要であることが示唆された。