第56回日本作業療法学会

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[PN-5] ポスター:地域 5

2022年9月16日(金) 16:00 〜 17:00 ポスター会場 (イベントホール)

[PN-5-7] ポスター:地域 5宮崎県における高次脳機能障害者を対象とした自動車運転支援の取り組みについて

中田 富久1岩切 良太2津輪元 修一3 (1九州保健福祉大学,2日南市立中部病院,3宮崎県立日南病院)

はじめに
 宮崎県作業療法士会(以下,宮崎県士会)は2019年に高次脳機能障害者(以下,対象者)を対象とした自動車運転支援(以下,事業)を開始した.開始から2年以上が経過し,これまでの活動や現在の取り組みを含め,それらから見えてきた今後の課題,取り組みについて一定の見解が得られたので報告する.尚,本内容は論文として公表しており,開示するべきCOI等にある企業等はない.
これまでの活動
 日本作業療法士協会は運転と作業療法委員会を立ち上げ,作業療法士が自動車運転を中心とした障害者・高齢者の移動支援を適切に展開できるよう活動を進めている.宮崎県士会は委員会の後押しを受け,2019年から一般社団法人宮崎県自動車学校協会(以下,指定協)と協働し事業を開始した.主な活動として,①関連機関と連携,②自動車学校における実車評価体制の構築がある.
関連機関との連携
 実車評価を行う際に重要となる指定協は早い段階で合意形成がとれた.事業で得られた情報は診断の一助にもなることから,診断書を発行する運転免許センター,高次脳機能障害者総合相談・支援拠点機関の大学へ事業説明に訪問した.各々,厚生的な意見が得られ事業を行うあたり平等性・信頼性・実現性の確保を求められた.
自動車学校における実車評価体制の構築
 指定協には対象者を取り巻く自動車運転の現状説明からはじまり,県内11ヶ所ある指定自動車学校の担当者と議論を重ね,2回の実効性を確認する研修会を開催し自動車学校で行う実車評価体制は概ね整備された.
今後の取り組みについて
 現在,事業を試行的に開始する準備として,関連機関の意見に答えるべく整備をすすめている.平等性については対象者の所在に関係なくどこでも評価が受けられるように,信頼性は支援者によって対応や評価の結果が異なることが無いよう段階的な研修会を設け,実現性は永続的に本事業が続けられるよう関連機関との折衝をおこなってゆく予定である.
 今後は活動・参加を支える移動という枠組みに視野を広げ事業を展開していきたいと考えている.