第57回日本作業療法学会

講演情報

ポスター

精神障害

[PH-2] ポスター:精神障害 2

2023年11月10日(金) 12:00 〜 13:00 ポスター会場 (展示棟)

[PH-2-7] 復職後のフォローアップとしての運動プログラム

佐藤 俊之, 小林 陽香 (医療法人社団柏水会三軒茶屋診療所東京リワークセンター)

【背景】
 東京リワークセンター(以下,当センター)は,2012年にリワークデイケアを開設した.当センターの特徴を2つ挙げる.1つ目は高強度の運動プログラムを導入していることである.運動量の基準は厚生労働省が示している『健康づくりのための身体活動基準 2013』に沿って,1回のプログラムで約10エクササイズを到達目標として, バスケットボール,フットサルを採用している.
 2つ目はフォローアップに注力していることである.面談や電話での対応に加え,復職をしたリワークプログラム修了者(以下,卒業生)が通常のデイケアプログラムに参加し気分転換等を図ることを推奨している.厚生労働省が報告した『主治医と産業医の連携に関する有効な手法の提案に関する研究』(横山ら,2017)では, “復職後 1 年に 57.4%, 復職後 2 年に 76.5%の再病休が集中していた.メンタルヘルス不調の労働者のケア・フォローアップが重要である”と述べている.
当センターは,デイケアを週5日,そのうちの1日はデイナイトケアとして稼働している.卒業生は,仕事終わりにフォローアップ面談を利用することができる.一方,有休取得やシフト調整を行い,デイケアプログラムに参加する卒業生も少なくない.そこで,卒業生が参加しているプログラムを調査し, 報告する.
【目的】
 当センターでは,卒業生もデイケアプログラムに参加可能で,人数は一定を保っている.そこで,プログラムごとの卒業生の参加状況を復職継続期間で分類し,卒業生がリワークプログラムをどのように利用しているのか調査し,復職後のフォローアップのニーズを考察したい.
【方法】
 2022年5月1日~10月31日の期間で,卒業生のプログラム参加状況を調査した.有馬(2010)の分類を参考に,下記のように分類した.尚,分類の起算日は該当期間中の初回参加日とした.
1,復職後~3か月 2,復職後4か月~6か月 3,復職後7か月~1年 4,復職後1年以上
尚,本報告の倫理的配慮として,書面及び口頭にて発表内容を説明し,同意を得ている.
【結果】
 該当期間中,デイケアに参加する卒業生の総数は120名であった.そのうち74.1%の89名が運動プログラムに参加していることが明らかとなった.調査を進めたところ運動プログラム実施回数は23回,そのうち卒業生の参加率は95,6%,ほぼ毎回いずれかの卒業生が参加していた.以下に卒業生の内訳を示す.
1,復職後~3か月:39.3%    2,復職後4か月~6か月:1.1%
3,復職後7か月~1年:14.6%  4,復職後1年以上:44.9%
【考察】
 調査結果より, デイケアプログラムに参加した約7割の卒業生に運動プログラムが選ばれていた.そのうち復職後7か月以上経過している卒業生が過半数を越えていた.佐藤(2022)は患者が運動することについて“本人が健康的に働き続けていくために必要な体験であると認識している.”と述べている.卒業生たちは復職から時間が経つにつれ,“働き続けるための運動”“健康維持・増進のための運動”として,当センターの運動プログラムを選択しているのではないかと考える.言うまでもないが運動をすることでの体力・耐久性の向上は期待できる.しかしながら,体力をつけただけでは働き続けることも難しいだろう.今後は,体力以外の部分においても運動と働くことの関係性を検証していきたい.