第57回日本作業療法学会

講演情報

ポスター

地域

[PN-2] ポスター:地域 2

2023年11月10日(金) 12:00 〜 13:00 ポスター会場 (展示棟)

[PN-2-11] ケア・トランポリン教室で活用されているプログラムの代謝当量の検討

西田 典史, 荻山 泰地, 嘉成 望, 丸 達也 (日本医療科学大学保健医療学部リハビリテーション学科作業療法学専攻)

【はじめに】介護予防に関する取り組みの中で,ケア・トランポリンが注目されている.ケア・トランポリン(日本ケア・トランポリン協会)は,全高1110mm,マットの直径530mm,フレームの直径96mm,マットの高さ270mm,手すりを両手でつかんで跳躍ができる様式である.筆者らは,2022年にケア・トランポリンインストラクター向けのDVDを作成した.このDVDは,足踏み運動と弾み運動など,合計40種類の段階に応じた運動を設定し,筋収縮の種類の解説を加えた約20分程度の映像として収録したものである.ケア・トランポリン教室では,90分間の教室で1回につき1分半から3分間のトランポリン上での運動を4セット行う形式で実施されている.ケア・トランポリンでの各運動がどの程度の消費エネルギーであるかを明確にすることで,段階付けが可能となる.【目的】そこで本研究では,ケア・トランポリン教室で実施されている運動プログラムの種類に応じた代謝当量を計測することを目的とした.【方法】対象は,本学所属の作業療法学専攻学生20名 (男性;10名,女性;10名;平均年齢21.1±2.3歳).研究期間は,2022年4月から2022年10月であった.測定手順は,①マット上足踏み運動,②マット上弾み運動,③マット上開脚弾み運動,④マット上体幹回旋弾み運動を行い,酸素摂取量(VO₂),二酸化炭素排出量(VCO2),分時喚起量(VE),一回換気量(TVE)代謝当量(METS)などを測定した.メトロノームの動作ピッチを100beat (100回/min) に設定し,ピッチ音に合わせて跳躍運動を行った.上記①から④の跳躍運動は,3分間であり,各運動の間には10分間の休憩を取ることで疲労による影響に配慮した.測定結果における統計処理は,各跳躍運動から得られた酸素摂取量(l/min),二酸化炭素排出量(l/min),分時換気量(l/min),一回換気量(l/min),代謝当量(METS) ,心拍数(beat/min) などの変数を反復測定分散分析および多重比較により検討した.【倫理的配慮】本研究を実施するにあたり,日本医療科学大学の研究倫理委員会からの承認を得た.【結果】酸素摂取量(l/min)は,①マット上足踏み運動;0.63±0.24 (l/min),②マット上弾み運動;0.58±0.67 (l/min),③マット上開脚弾み運動;0.92±0.66 (l/min),④マット上体幹回旋弾み運動;1.12±0.63 (l/min)であった.代謝当量は,①マット上足踏み運動;2.71±0.63 (METS),②マット上弾み運動;3.64±0.74 (METS),③マット上開脚弾み運動;4.54±0.63 (METS),④マット上体幹回旋弾み運動;5.48±0.62 (METS)であった.反複測定分散分析の結果では,酸素摂取量[F(3/16)=16.3,p<0.001],代謝当量[F(3/16)=16.4,p<0.001]において有意な主効果が得られた.【考察】ケア・トランポリン教室のプログラムの代謝当量を測定できたことにより,対象者のレベルに合わせた運動を実施することができ,段階付けの根拠が得られた.今後,到達できた運動レベルと日常生活への恩恵および認知症予防との関連についても検討していきたい.