第57回日本作業療法学会

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ポスター

地域

[PN-3] ポスター:地域 3

2023年11月10日(金) 13:00 〜 14:00 ポスター会場 (展示棟)

[PN-3-4] 地域おこし協力隊制度を活用した学童保育における作業療法コンサルテーションの取り組み

山田 佐和1, 森川 芳彦2, 山田 大輔3, 八重樫 貴之4 (1.備前市地域おこし協力隊, 2.専門学校 川崎リハビリテーション学院作業療法学科, 3.特定非営利活動法人Pro Bono Rehabilitation Servicesこども発達LABO.Proリハ牟佐, 4.株式会社リニエR)

【はじめに】
 地域おこし協力隊とは,人口減少や,高齢化等の進行が著しい地方において,地域外の人材を積極的に受け入れ,地域協力活動を行い地域力の維持・強化を行う取り組みである.任期は概ね1年以上,3年未満である.活動内容や条件は募集自治体によって異なり,具体的にプロジェクトを指定される場合もあるが,フリーミッションの場合もある.
 2022年,放課後児童クラブ(以下,学童保育)の利用者数は全国で134万人と前年に比べて4万人増え,調査開始以来最多を記録した.岡山県備前市も例外ではなく,少子高齢化が加速する一方で,学童保育利用者数は増加している.それと同時に,発達障害などを背景にした,特別な配慮を必要とする子どもの数も増加しており,学童保育の現場では運営における困難さを抱えている.そんな中,岡山県では2016年より作業療法士が学童保育を訪問しコンサルテーションを行うモデル事業(以下,OTコンサル事業)が開始され,備前市内の学童保育でも2018年度に2回利用されていた.
 今回,筆者が地域おこし協力隊となり,協力隊制度を活用したOTコンサル事業の回数が増加したのでその取り組みを報告する.これらの活動に利益相反はない.
【方法】
 2022年4月に備前市地域おこし協力隊として着任,2022年5月に備前市放課後児童クラブ連絡協議会にて,全学童保育(運営委員会8団体,NPO2団体)に地域おこし協力隊によるOTコンサル事業について説明し,チラシを配布した.申し込み方法は,紙媒体とした.OTコンサル事業に関わる人件費や経費は,協力隊活動費で賄われるため,学童保育側の金銭的負担はなかった.訪問の申込みがあった学童保育に連絡し,訪問日時を決定後,訪問を行った.訪問当日,対象児童の情報,支援員の相談内容を確認し,対象児の観察によりアセスメントを行った.訪問は1回あたり2時間程度とし後日,相談内容,対象児のアセスメント,アドバイス等をまとめたものを紙媒体で提供し,カンファレンスを実施した.
【結果】
 2022年度の備前市内における学童保育へのOTコンサル事業は,訪問が延べ11回,メール相談が2回であった.総ケース数は11ケースである.今期の訪問終了後,学童側から,「発達の専門家が来てくれてよかった」「困りごとが整理できた.本人の特性を理解するきっかけになった」「指導員とは違った視点で見てもらえてよかった」「今後も2ヶ月に1回ぐらい訪問があると助かる」などといった言葉が聞かれた.
【考察】
 筆者介入以前の2018年度に,備前市内における学童保育へのOTコンサル事業は2回であったが,2022年度は,地域おこし協力隊の活用により,延べ11回に増加した.増加した理由として,(1)費用負担がかからないこと(2)細かい日程の変更や,時間の変更はその都度迅速に対応を行ったこと(3)急な相談にはメールなどで対応を行ったこと(4)気になるケースについては2−3ヶ月後に再訪問を提案し実施したことが考えられる.特に(1)(2)(3)については,地域おこし協力隊という,今までにない形でのOTコンサル事業が,利用する側のハードルを下げ,これまで利用したことのなかった学童保育からの利用を促したと考えられる.