第57回日本作業療法学会

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教育

[PR-11] ポスター:教育 11

2023年11月11日(土) 15:10 〜 16:10 ポスター会場 (展示棟)

[PR-11-3] 臨床リハビリテーション場面におけるクライアントとより良い関係を形成するためのコミュニケーションと介入技能評価の開発

篠原 和也1, 葛谷 憲彦2, 鈴木 ゆい2, 山本 武1, 鹿田 将隆1 (1.常葉大学保健医療学部, 2.常葉大学リハビリテーション病院リハビリテーション科)

【はじめに】 リハビリテーション(以下,リハ)における患者とセラピストとの関係性は重要であるにもかかわらず,その関係構築に必要な技能を測定するツールはない.本研究の目的は,「臨床リハ場面におけるクライアントとより良い関係を形成するためのコミュニケーションと介入技能評価(以下,CISA)」案の心理測定特性を検討して,CISAを開発することである.
【方法】 1.対象者 日本リハ病院・施設協会会員施設に所属するセラピストと機縁法により募集したセラピストで,研究協力に同意を得た理学療法士215名,作業療法士153名,言語聴覚士69名の計437名であった.2.手続き 54項目のCISA案に5件法で回答するWebアンケートをgoogleフォームで作成した.対象者には研究協力依頼文書に記したWebアンケートに連結するURLやQRコードから,協力と回答を求めた.3.分析 ①項目間相関分析などの項目分析を行った.②探索的因子分析を行い,因子数を決めて因子名を命名した.③ラッシュ分析と④残差の主成分分析を行い,尺度の一次元性が担保できるよう項目を選定した.ラッシュ分析後の因子構造を探索的因子分析から再確認するとともに,主成分分析により1次元性の担保も再確認した.⑤確認的因子分析を行い,モデル適合度を確認した.⑥尺度全体と各因子における信頼性分析を行い,内的整合性を確認した.適合基準は,①r≧.70の項目を削除,②因子負荷量≧.40とし,他の因子の負荷量≧.30の項目を削除,③infit平方平均<.1.10かつ標準普遍分散値の絶対値>2.0の項目から,④残差の固有値<3.00になるよう項目を削除,⑤Comparative Fit Index(以下,CFI)≧.90,Goodness of Fix Index(以下,GFI)≧Adjusted GFI(以下,AGFI)かつ≧.90であれば適合度は良い,Root Mean Square Error Approximation(以下,RMSEA)<.60で十分なモデル,≧1.0であれば適合が悪い,⑥Cronbachα≧.70であれば内部一貫性が高いとした.本研究は筆頭演者が所属する大学の研究倫理委員会の承認を得て実施した(承認番号:2022-006).
【結果】 項目間相関分析から7項目を,探索的因子分析から11項目を削除し,3因子36項目となった.第1因子を「リハ過程における評価,計画,治療の介入技能」,第2因子を「リハを行う基本的な姿勢とコミュニケーション技能」,第3因子を「リハ開始時の介入技能」と命名した.ラッシュ分析と残差の主成分分析から8項目を削除し,固有値は2.83となった.3因子構造を指定した探索的因子分析から1項目を削除後に27項目となったが,各因子を構成する項目に変化はなく,固有値は2.83であった.確認的因子分析の結果はCFI=.921,GFI=.865,AGFI=.841,RMSEA=.065であった.Cronbachαは全体=.961,第1因子=.958,第2因子=.839,第3因子=.803であった.
【考察】 GFIやAGFIは<.90であったことからモデル適合度が最良とは言えないが,CFI≧.90を満たし,RMSEAも.60に近似していたことから,CISAのモデル適合度は良好であると考える.また,固有値<3.00と尺度としての一次元性が保たれている点からも,3因子,27項目によるCISAの構成概念妥当性は担保されていると考える.さらに,尺度全体と各因子においてCronbachα≧.70を満たしていたことから,CISAは内部一貫性も十分担保されていると言える.
【結論】 本研究から3因子,27項目によるCISAを開発し,妥当性と信頼性の担保を確認できた.