第57回日本作業療法学会

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ポスター

教育

[PR-12] ポスター:教育 12

2023年11月11日(土) 16:10 〜 17:10 ポスター会場 (展示棟)

[PR-12-4] 学内での実習対策の有効性についての検討

佐平 安紀子, 姫田 由美, 石川 進一 (社会福祉法人 関西中央福祉会 平成リハビリテーション専門学校)

【はじめに】
作業療法士養成校にとって,臨床実習は重要事項であり,カリキュラムの中核をなす.しかしCOVID-19の影響により,学内実習を余儀なくされる現状も起こった.その中で,診療参加型臨床実習の意図を捉えた学内実習の重要性は高く,本校でも実習対策の内容検討を重ねている.今回,対象学生に学内で行った実習対策に関するアンケート調査を行い,教育効果と課題を把握し,今後の取り組み検討を行うこととした.
【方法】
対象は作業療法学科最終学年のうち,今年度の臨床総合実習Ⅰ,Ⅱを実施した25名である.実習対策として実施した項目は,「実技演習,当事者来校型の実技演習,模擬症例のレジュメ演習,当事者来校型のMTDLPでのレジュメ演習,文献抄読,基礎知識の補填,OSCE,実習オリエンテーション」の8項目である.アンケートは,上記8項目が実習で活用できたのかを問う3件法の問いに加え,実習対策に対する意見,実地の実習でしか学べないと感じた点,総合臨床実習がどのような体験となったのかを自由記載で聴取し,自由記載で得られたデータはKHcoder3を用いて共起分析を行った.口頭および文書にて調査の趣旨を説明し,アンケートの提出をもって同意とした.本調査は本校の倫理検討の承認を得ている.
【結果】
アンケート回収率は100%であった.「実習で活用できた」との回答が最も多い項目は,「実技演習,当事者来校型の実技およびMTDLP演習,基礎知識の補填」で92%となった.「実習で活用できた」との回答が最も低い項目は,文献抄読で56%となった.実地の実習でしか学べないと感じた点については,「対象者とのコミュニケーション」が多く,他には評価や治療・移乗等の技術面,その人の回復段階に応じた目標設定等の思考過程,見て触れる体験,状態変化に応じて臨機応変に対応する力が挙げられた.総合臨床実習がどのような体験になったのかに関しては,働くイメージや将来を見据える機会,学内で学んだものを体感する場,一連の流れを理解する難しさや自身の知識不足を痛感する機会となったこと等が挙げられた.
【考察】
診療参加型臨床実習の趣旨は,「学生が診療チームに参加し,その一員として診療業務を分担しながら,職業的な知識・思考法・技能・態度の基本的な部分を学ぶこと」とされている.アンケート結果より,趣旨の内容をそれぞれの視点で捉える機会となり,学生の満足度が高い実習であったことが伺えた.実習対策の内容に関しては,「実習で活用できた」と感じる項目に差が見られた現状である.文献抄読に関しては,「必要性は分かるが,どう活用してよいのかわからなかった」との意見も聞かれた.今後文献抄読を行う際は,目的や意図をより丁寧に説明した上で,今回得た知識をどのように活用するのか,その先の視点まで考える機会を取り入れる必要がある.また,活用できなかったと回答した理由に共通していたものは,学んだ方法と異なる点や学んだ方法では実践できない点が挙げられた.そのため,当事者来校型の実技や臨床現場のOTによる実技指導を次年度も継続し,より実践的な実技練習が行えるように検討を重ねたい.それぞれの対策を行う目的は教員側からの説明だけでなく,学生自身が必要性を考え,目的意識を高めることが重要である.学内においても「見学・模倣・実施」の流れをより重視した内容となるよう,今後も検討を継続していきたい.また,実習施設との連携を更に強化できるよう,双方で対話できる機会の増加を図っていきたい.