第57回日本作業療法学会

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ポスター

教育

[PR-7] ポスター:教育 7

2023年11月11日(土) 10:10 〜 11:10 ポスター会場 (展示棟)

[PR-7-4] CMIを手掛かりとした学生支援

泉 真季子, 石井 幸美, 木村 陽子, 加福 隆樹 (学校法人臨研学舎 東北メディカル学院)

【はじめに】2020年度より診療参加型臨床実習が開始され,実習の負担の見直しがなされてはいる.しかし,学生にとって実習そのものがストレス度の高いものであることに変わりはない.本学院においても学生の実習における心身の調子の崩しやすさには注意を払ってきた.本学院では2016年以降,心身支援の必要性を早期に探る一助としてCornel Medical Index (以下,CMI)を実施してきており,神経症傾向が見られるほど,実習において不安が多くなると仮定した.本研究は,CMIと実習中の不安との関連性を明らかにし,今後の実習時の学生支援の一助とすることを目的とした.
【方法】対象は,研究に同意の得られた3学年24名.心身状況はCMIを用いた.CMIは身体的自覚症12項目と精神的自覚症6項目について自己回答し,表に照らし合わせてⅠ〜Ⅳの領域に区分される.Ⅰ領域は心理的正常域,Ⅱ領域は正常である可能性が強い,Ⅲ領域は神経症の傾向がある,Ⅳ領域は神経症の可能性が強いとなっている.調査は,CMIの領域分け,各領域で実習中に不安の表出があった件数とその内容,各領域で実習中に支援を必要とした人数とその内容について行った.CMIは入学時に実施し,各領域の人数を算出した.各領域で実習中に不安の表出があった件数とその内容は,実習中に週1回(全4回),不安等について聴取した.各領域で実習中に支援を必要とした人数とその内容は,学生もしくは実習地からの要請にて支援介入を行った.
【結果】CMIの領域分けは,Ⅰ領域は13名,Ⅱ領域は6名,Ⅲ領域は5名,Ⅳ領域は0名であった.各領域で実習中に不安の表出があった件数は,Ⅰ領域で5名から6件.その内容は,ストレスによる心身の不調,学習の進捗・習熟度に対する心配であった.Ⅱ領域では3名から3件あった,その内容は学習の習熟度に対する心配,精神的不安感であった.Ⅲ領域では2名から4件あった.その内容は,学習の習熟度に対する心配,精神的不安感であった.各領域で実習中に支援を必要とした人数は,Ⅰ領域で2名,Ⅱ領域で2名であった.その内容はストレスによる心身の不調と,孤独・緊張感であった.Ⅰ領域の1学生は,これまで自覚していなかったストレス要因に気づき,精神的不調をきたしていた.
【考察】本研究は実習における学生との関わり方を見出すために,CMIの結果と実習中の不安・支援の関連について調査した.CMIで神経症傾向(Ⅲ領域)にある学生の実習時の不安表出率は高かった.一方,正常範囲(Ⅰ・Ⅱ領域)である学生においても不安表出率は高く,さらに具体的な支援を必要とした.これらの結果は,実習期間中はCMIの領域に関係なく学生と関わっていかなければならないことを示唆している.今回,入学時におけるCMIの結果をもとに支援の必要性を探ったが,CMIは自覚症状の自己評価であることもあり,実習のストレス状況の変化によって心身の不調に対する自覚が芽生えたため,Ⅰ・Ⅱ領域の学生においても不安表出が増加し,支援も必要になったと推察する.CMI健康調査は心身両面の自覚症状を質問紙によって調査するもので,疾病のスクリーニングや心身障害の予知などにも有効であることが明らかにされている.しかし,CMIで正常領域の学生の不安が増加したことは,実習は学生にとって心身の調子を予想以上に崩しやすいストレス度の高いイベントであることが示された.実習中は,Ⅲ・Ⅳ領域の学生への支援を行うのはもちろんのこと,I・Ⅱ領域の学生であっても,発達課題に伴って発生するストレスの有無を注意深く見守り,変化に気づいて援助していく必要があると改めて認識した.