第57回日本作業療法学会

講演情報

企画セミナー

[S-18] 企画セミナー18:日本コンチネンス協会

2023年11月12日(日) 10:50 〜 11:50 第6会場 (会議場A2)

司会:下里 綱(大浜第一病院)

[S-18-1] 作業療法士も関わる排泄リハビリテーションのための評価~現場で活かす排泄ケアのための評価法講座~

今西 里佳1, 長嶺 ふじ子2 (1.新潟医療福祉大学, 2.回復堂Mahanalab)

平成28年に新設された「排尿自立指導料」において、排尿ケアチームのメンバーに医師、看護師のほか、PTまたはOTが入っていることが必須となった。令和2年の改定では「排尿自立支援加算」「外来排尿自立指導料」が新設され、急性期・回復期・維持期において、PTもOTも排泄リハビリテーションの一翼を担う時代に入った。排泄リハビリテーションは、診療報酬算定の可否に関わらず、対象者の在宅復帰やQOL向上、介護者の介護負担軽減に寄与するが、PTもOTも卒前にこの領域の教育を十分に受けていないという現状がある。そこで、本セミナーでは、排泄リハビリテーションの基本である排尿状態および排便状態の評価法についてお伝えする。OTが排泄の評価ツールを理解し、多職種で評価を実践し、データ解析できるようになることで、1)対象者の排泄状態を多職種や家族とともに明確に把握して症状を特定し、2)症状に適した治療および包括的なケアの立案やより具体的なサービスを提供することができる。今回は、排尿と排便の両方の評価法をご紹介する。
【下部尿路症状に対する評価法】(講師:今西里佳)では、排尿に関する症状質問票と排尿日誌を紹介し、排尿日誌の記載と分析の方法をお伝えする。排尿日誌は、排尿時刻や排尿量、尿失禁の有無や回数、尿意切迫感の有無、失禁が起きた時の動作や状況、摂取水分量と内容を記載することで、排尿(失禁)のパターンの把握や適正水分量を計算し、頻尿や夜間頻尿、尿失禁に対する具体的な解決策の立案に役立つ。
【排便症状に対する評価法】(講師:長嶺ふじ子)では、排便に関する症状質問票と排便日誌、ブリストルスケールを紹介し、排便日誌の記載と分析方法をお伝えする。ブリストルスケールは、便の性状を7段階に分類する国際的なツールである。本スケールを用いることで、便秘や便失禁など、排便に関する問題を解決するために必要な便の性状についての情報を客観的に評価することが可能となる。排便日誌は、排便回数、時刻、便意の有無、性状、便の量、下剤や浣腸、薬の使用の有無、食事内容と量、摂取時刻、失禁の有無、失禁の量、その他便失禁時のエピソードなどを記載することで、スムーズな排便に向けた支援計画立案に役に立つ。本セミナーでは現場ですぐに活用できる排泄の評価法について、わかりやすくお伝えしたい。