第57回日本作業療法学会

講演情報

企画セミナー

[S-5] 企画セミナー5:ICT リハビリテーション研究会

2023年11月10日(金) 17:00 〜 18:00 第5会場 (会議場B2)

司会:上原 亮介(一般社団法人 ICTリハビリテーション研究会)

[S-5-1] デジタルファブリケーションで拓く新たな作業療法の可能性Ⅳ ー3Dプリンタでの自助具づくりを全国へ、そして自助具を提供する上で考慮すべきこととはー

林 園子1, 濱中 直樹2 (1.一般社団法人 ICTリハビリテーション研究会, 2.ファブラボ品川)

デジタルファブリケーション(以下DFと略す)は,インターネット接続環境を前提とした3Dプリンタなどのデジタル工作機械を使った「ものづくり」である。近年それは価格やソフトウェアの使い勝手において,かなり身近なものになってきている。そして昨今、作業療法場面においてもDFの利活用は少しずつ拡がりを見せている。
前回の企画セミナーでは、自助具を3Dプリンタで製作する際のガイドライン作成に至った経緯やDFを利活用した生活支援用具の作製について作製者が持っておくべき態度や考え方をお示しするとともに、参加者の方々と意見交換を行った。
それを踏まえ当研究会では、多くの当事者や支援者が自助具を3Dプリンタで作製することに気軽にチャレンジできるよう、チートシート(何かを操作する際によく参照される情報を、簡潔な表現や表記で一枚から数枚の紙にまとめて一覧できるようにしたもの)を作成した。
チートシートの内容は、1.製作の流れ、2.フィラメント(材料)ごとの特徴、3.おすすめ用途・出力設定、4.安全性や耐久性を高める工夫、5.「作業」をつくるための工夫からなる。
そして3Dプリンタを活用した自助具作製が作業療法士のスキルとして一般的に、そして標準化にしていくために、全国各地でハブとなる方々がチートシートを元にした実際の材料や製作物を用いたハンズオン形式の研修会を展開できるよう支援している。
今回のセミナーでは、実際に開催している様子や教材の一部を紹介する。
また、我々は作業療法の臨床場面で自助具を提供する上で、考慮すべき視点を10項目にまとめた。
そちらを紹介するとともに、その視点に沿い、3Dプリントを具体的にどのように組み込んでいくべきかの考え方を共有したい。作業療法のクライエントとともに自助具を用いて、クライエントの活動をポジティブに導くための「仕組み」について議論する。