第57回日本作業療法学会

講演情報

専門作業療法士セミナー

[SOT-4] 専門作業療法士セミナー4

2023年11月10日(金) 11:00 〜 12:00 第6会場 (会議場A2)

[SOT-4-1] 訪問作業療法で大切なこと~礎を知り、発展・追求するために~

宇田 薫1, 寺本 千秋2 (1.医療法人おもと会 統括リハビリテーション部 訪問リハビリテーション科, 2.紀州リハビリケア訪問看護ステーション)

訪問専門作業療法士セミナーでは、2021年「訪問作業療法の真髄~礎から未来へ~」、2022年「訪問作業療法の礎~備えておくべき気づき力と考え方~」というテーマを掲げました。今回も「礎」というキーワードを含め、過去と同様のテーマとしました。日々、悩みながら、自分の実践に間違いはないのか?訪問作業療法とは何か?と不安を抱いてきたのは、これらのテーマにあるように、「これぞ訪問作業療法!」という礎や道標が存在しなかったからではないでしょうか?おそらく、今までは訪問に携わる作業療法士が自らが、それらを明らかにしていく過程にいたのだと思います。しかし、もうその過程は終わり、今は、次のステージに進める状況になったと考えます。
 私は、先輩方が確信された「在宅、地域という環境での作業療法の意義」「そこに作業療法士が必要であるということ」を受け継ぎ、当時、協会主催で開催していた訪問作業療法研修会に携わっていました。そこで出会った作業療法士は真摯に利用者の生活環境での作業療法に取り組んでおられ、どの実践も「作業療法」であるのに、それを確かめる場所、書籍、人が居ないために、誰もが常に不安を脱ぐことができない様子でした。「それでよいですよ。」「あなたが提供しているのは作業療法ですよ。」という一言で安心され、「このような視点も加えてみるのはどうでしょうか?」などのアドバイスで、何かに閃いた表情を見せられたことなどを、今でも鮮明に覚えています。それは、徐々に私達ベテランから若い世代へのアドバイスに終わらず、世代に関係なく、訪問作業療法に携わる作業療法士同士が、情報・意見交換することで「訪問作業療法」の礎を作り上げるという過程に変化したと感じています。
 今回は現在から未来に向けて、訪問作業療法に携わる作業療法士が、現在までの「訪問作業療法実践」を取りまとめました。今後の発展に向けた意見を出し合い、次のステージに向かうための時間としたいと思います。