第57回日本作業療法学会

講演情報

シンポジウム

[SY-2] シンポジウム2

2023年11月11日(土) 09:00 〜 10:30 第1会場 (劇場棟)

座長:酒井 康年(うめだ・あけぼの学園)

[SY-2-1] 障害福祉領域で求められる作業療法士の専門性~児童通所支援で活躍するために~

酒井 康年1, 嘉門 邦岳2, 仲間 知穂3 (1.うめだ・あけぼの学園, 2.株式会社アクト・デザイン, 3.YUIMAWARU株式会社)

現在の障害児通所支援の体系は2012年の障害福祉の構造改革により創設された。10年が経過する中で様々な成果と課題が得られてきているところである。国としても、この間の課題を整理するために、2021年に障害児通所支援の在り方に関する検討会を、2022年に通所支援に関する検討会を開催し、検討を進めてきた。21年検討会では児童発達支援センターが医療型と福祉型の一元化が決められた。また、支援の類型化(総合支援型と特定プログラム型)が話題となったが、22年検討会において、児童発達支援・放課後等デイサービスは5領域を含める総合支援型が基本であることが確認された。同時に児童発達支援センターの機能強化、総合的なアセスメントの重要性が確認された。
 現時点では総合的に支援するという理念は確認されたものの、各事業所においてどのような実践の仕方が求められるのかは明らかになっていない。総合的なアセスメントも同様に具体的なものはまだ示されていない。
しかし、総合的に支援をするということは、取りも直さず子どもの育ちや生活全体を見ることであるといえよう。子どもの発達や育ちを多角的に見ることができる作業療法士の得意なことであると考えられる。また、生活全体を視野に入れるということは、通所している施設での生活だけでなく、その対象となる子の家庭生活や地域生活も視野に入れる必要が求められており、これもまた活動と参加を支援する専門家である作業療法士の得意とするところと言えるだろう。
 しかしながら、作業療法士の現状はどうであろうか。この領域で働き、活躍する人が増えており、積極的に活動展開している人が増えている。一方で、通所における作業療法士の役割がわからないとか、専門性に迷うとか、アイデンティティに不安があるなどの悩みを耳にすることも少なくない。
 本シンポジウムでは、上記のような国における制度変更の流れを踏まえて、作業療法士に何が期待されるのか、何が求められるのかを議論する。そして、それが実現されるための作業療法士の専門性をどのように考えるかを議論する。