日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

インターナショナルセッション(口頭発表)

セッション記号 A (大気海洋・環境科学) » A-AS 大気科学・気象学・大気環境

[A-AS01_30AM1] Extreme Weather in Cities

2014年4月30日(水) 09:00 〜 10:45 423 (4F)

コンビーナ:*真木 雅之(鹿児島大学地域防災教育研究センター)、松本 淳(首都大学東京大学院都市環境科学研究科地理環境科学専攻)、小司 禎教(気象研究所気象衛星・観測システム研究部第2研究室)、中谷 剛(独立行政法人 防災科学技術研究所)、座長:石原 正仁(京都大学学際融合教育研究推進センター極端気象適応社会教育ユニット)

09:35 〜 09:55

[AAS01-03] 「気候変動に伴う極端気象に強い都市創り(TOMACS)」における首都圏稠密観測

*小司 禎教1 (1.気象研究所)

キーワード:メソ気象, 稠密観測, 気候変動, 極端気象

高度に発達した交通網や通信網を有し、数百万以上の人々が生活する大都市には、台風、集中豪雨、落雷、突風などの激しい気象擾乱に対する脆弱性が内在している。今後の気候変動に伴って懸念される局地的豪雨の多発化や巨大台風の発生は都市型災害の被害を甚大化する可能性が高く、局地的大雨・強風などの極端気象の監視・予測技術の確立は急務となっている。 2010年4月より、文部科学省社会システム改革と研究開発の一体的推進「極端気象に強い都市創り」のもと、前例のない稠密観測網と、モデリング、及び社会実験が、防災科学技術研究所(NIED)、気象研究所(MRI)及び25 を越える研究機関、大学、地方公共団体、民間企業と100 人を越える研究者・実務者の参加によって推進されている。首都圏の局地的な影響の大きい気象現象(Local High Impact Weather: LHIW)をターゲットとするこのプロジェクトは、次の3つの研究テーマから構成されている。 課題1: 稠密気象観測による極端気象のメカニズム解明 課題2: 極端気象の監視・予測システムの開発 課題3: 極端気象に強い都市創り社会実験 課題1では首都圏を対象に、気象庁や国土交通省の既存観測システムに加え、最新の観測システム(Xバンド及びCバンドの二重偏波レーダー、Kuバンド高速スキャンレーダー、ドップラーライダー、マイクロ波放射計、GPS観測網、高層ゾンデ、無人飛行機観測等)を結集した稠密気象観測により多数の積乱雲を観測する。それらのデータを用いて、環境場、積乱雲の発生要因、発生・発達・衰弱までのプロセスを理解した上で、データ解析、数値モデル再現実験等により災害をもたらす積乱雲、及び災害をもたらさない積乱雲の発生・発達・衰弱メカニズムを解明するとともに、研究テーマ2で使用するデータセットを作成する。大都市での深い対流の密な気象観測網はユニークであり、世界的なテストベッドとして着目されている。 集中観測期間は、統計的に雷雨発生頻度の多い7月下旬から8月末に設定され、2011-2013年に実施された。集中観測期間中、いくつかLHIWが発生し、対流圏の環境場、境界層、積乱雲の初期の発達過程と一生について、精力的な解析が進められている。ここでは研究の必要性、観測システムの概要、得られた成果について紹介する。