日本地球惑星科学連合2014年大会

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口頭発表

セッション記号 A (大気海洋・環境科学) » A-AS 大気科学・気象学・大気環境

[A-AS21_30PM1] 成層圏過程とその気候への影響

2014年4月30日(水) 14:15 〜 16:00 313 (3F)

コンビーナ:*宮崎 和幸(独立行政法人 海洋研究開発機構 地球環境変動領域)、田口 正和(愛知教育大学)、河谷 芳雄(独立行政法人海洋研究開発機構)、佐藤 薫(東京大学 大学院理学系研究科 地球惑星科学専攻)、座長:宮崎 和幸(独立行政法人 海洋研究開発機構 地球環境変動領域)

15:45 〜 16:00

[AAS21-20] 南極域の波動活動とオゾン全量および オゾン破壊過程との関係

*門脇 正尚1秋吉 英治1山下 陽介1中村 哲2 (1.独立行政法人国立環境研究所、2.国立極地研究所北極観測センター)

キーワード:成層圏オゾン, 波活動, 化学輸送モデル

オゾンホールの大きさ・深さは、大気中のハロゲン量や大気波動の影響を受ける。例えば、2002年のオゾンホールは、成層圏の塩素濃度がほぼピークであったにもかかわらず、波動活動が大きかったため、オゾンホールの規模は小さかった。また、南極上空では波数1の定常波と波数2の非定常波が卓越するが、平年と比較してどちらがより卓越するかによって、そのオゾン破壊過程への影響に違いが生じると考えられる。波数2の非定常波が平年より極端に卓越した場合、引き延ばされた極渦が南極中心に回転することで、極渦内外の混合が進み、極渦外からの高濃度NOxやオゾンの極渦内への流入によってClO濃度は低下し、オゾンホールが縮小することが考えられる。熱輸送による気温上昇も不均一反応の進行を抑え、オゾンホールを縮小する方向に働く。また、波数1の定常波のみが卓越した場合、NOxやオゾンの混合が大きくはなくても、気温が上昇して不均一反応の進行を抑えるであろう。その一方で、極渦の中心が南極点からずれて存在するので、春分前では極渦がより日射に曝される状況となり、日射に曝された領域ではよりオゾ破壊が進むことも予想される。TOMSおよびOMIのオゾン全量データからオゾン全量が220DU以下になる面積を9月7日~10月13日の期間で計算し、その最大値をオゾンホール面積の年最大値とした。また、オゾン全量最低値は同期間での最低値をオゾン全量の年最低値とした。本研究では、ERA-Interimの客観解析データ(東西風、南北風、気温)をナッジングした化学輸送モデル計算の結果を用いた。オゾンホールが十分発達した1985-2011年の期間において、南半球中・高緯度の波動活動とオゾンホール面積、オゾン全量最低値及びオゾン破壊に係わる量成分分布との関係を調べた。本発表では波動活動がどのような過程を通してオゾンホールの大きさに影響するのかについて解析結果を報告する。