日本地球惑星科学連合2014年大会

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セッション記号 A (大気海洋・環境科学) » A-AS 大気科学・気象学・大気環境

[A-AS23_28PO1] 稠密観測によるマイクロ・スケール大気現象研究の新展開

2014年4月28日(月) 18:15 〜 19:30 3階ポスター会場 (3F)

コンビーナ:*古本 淳一(京都大学生存圏研究所)、古本 淳一(京都大学生存圏研究所)、坪谷 寿一(NTTドコモ ライフサポートビジネス推進部)

18:15 〜 19:30

[AAS23-P04] 稠密観測POTEKAによるダウンバーストと竜巻の観測結果

*佐藤 香枝1呉 宏堯1矢田 拓也1前田 亮太1小島 慎也1森田 敏明1岩崎 博之2 (1.明星電気株式会社、2.群馬大学教育学部)

キーワード:稠密観測, ダウンバースト, 竜巻

明星電気株式会社は、稠密観測のための小型気象計POTEKA Sta.(ポテカ:Point Tenki Kansoku、以下POTEKA)を開発した。POTEKAは気温・湿度・気圧・感雨・日照を1分間隔で測定できる。そのPOTEKAを用いて、地元企業及び教育委員会の協力の下、「伊勢崎市POTEKAプロジェクト」を発足させ、伊勢崎市内小中学校及び同市周辺のコンビニ(SAVE ON)に約1.5~4km間隔で計55ヶ所に設置した。本稿では、顕著な観測事例として8月11日に高崎市・前橋市で発生した突風現象と9月16日にみどり市で発生した竜巻の気圧の観測結果について紹介する。
8月11日の観測結果は、POTEKAの1分値では、1~2hPa程度の一時的な上昇がみられた。これはダウンバースト発生時の下降流による一時的な気圧上昇であると示唆される。さらに詳しく見ると、気圧の上昇は2回発生している地点もあり、1回目はガストフロントによるもの、2回目はダウンバーストによる上昇と考えられる(詳細は「「地上稠密観測POTEKAによるダウンバーストとガストフロントの識別)」を参照のこと)。
9月16日は、台風通過に伴う気圧の低下の中で竜巻が発生し、みどり市内で2時20分に停電が発生した。その1.2㎞離れたPOTEKAの気圧は2時11分に最大3分間で3hPaの気圧の急低下を観測した。
今回のプロジェクトにより、ダウンバースト・竜巻発生時の地上における気圧の急激な変化を観測できた。ダウンバースト・竜巻発生時の地上における気圧変化を、これほど細かい時間的・空間分解能で観測した事例はほとんど見られない。また、観測結果から、気圧低下から被害発生までに、約数分~十数分の時間差があることから、稠密観測網による突風に対する事前の注意喚起が出来る可能性がある。この観測網はデータ蓄積の為、今後も観測を継続し、局所的な気象現象を捉え、日々の生活に密着したデータ活用方法を模索していきたい。


謝辞:本プロジェクト始動にあたり、伊勢崎市教育委員会殿、サンデン(株)殿、(株)セーブオン殿にはPOTEKA設置のご協力を頂きました。ここに御礼申し上げます。