日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 A (大気海洋・環境科学) » A-CC 雪氷学・寒冷環境

[A-CC31_29AM1] 雪氷学

2014年4月29日(火) 09:00 〜 10:45 312 (3F)

コンビーナ:*鈴木 啓助(信州大学理学部物質循環学科)、兒玉 裕二(国立極地研究所)、座長:鈴木 啓助(信州大学理学部物質循環学科)

10:15 〜 10:30

[ACC31-06] 準リアルタイム積雪分布監視システムを用いた新潟県内の積雪深分布の把握

*伊豫部 勉1河島 克久1和泉 薫1 (1.新潟大学 災害・復興科学研究所)

キーワード:積雪深分布, 準リアルタイム解析, 新潟県

積雪深の変化を時間的・空間的に詳細に把握することは,雪氷防災や水資源としての積雪量,さらに気温上昇などの環境変動による積雪分布への影響を理解する上で重要である.そのためには多地点での地上観測値が必要であるが,気象庁の観測網では全国約330地点のデータしか得ることができず,そのような情報に基づく積雪深の空間分布の推定には多くの不確実性を伴う.一方,近年では気象庁のほか,国の行政機関,研究機関,民間企業,都道府県,さらに一部の市町村等において,防災気象情報として降積雪量の実況値をウェブ上に公開する機関が増加している.しかし,観測は複数の機関によって個別になされているものの,観測実施主体によって観測頻度や観測値の管理・公開方法が異なる等の理由により,観測機関以外のユーザーが利用しやすい状況ではない.このような背景の下,著者らは以前からこれら多機関データに着目した詳細な積雪深分布解析を取り組んでおり,現在はウェブ上で公開される多機関の降積雪データの一元的集約とデータベース作成までを全て自動化した「準リアルタイム積雪分布監視システム」の開発に着手し,2012/13年冬期より新潟県を対象に試験運用を行っている.本システムでは,観測機関のURL毎に観測点名,データ取得日時,観測値などの配列の規則性を解析し,観測情報を自動的に取得するためのプログラムを作成するとともに, それらを1時間毎に定期的に実行し,取得データを標準的な形式に統合して保存,表示することを主眼としている.これまでのところ,新潟県内320地点において,オンラインでの積雪深データの準リアルタイム取得とデータベース作成までのシステム化は概ね目途がついた.今後は,積雪深の面的な分布を推定するための未観測地点における積雪深の補間手法や本システムの利活用方法について検討を進めていくことが重要である.