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[AHW27-05] 九頭竜川水系における懸濁態有機物の炭素同位体比の変動
キーワード:粒子態有機炭素, 炭素同位体, 河川水, 移行挙動, 流量
炭素安定同位体比と放射性炭素は、有機物のバルクの特徴とともに時間軸を組み込むことが可能であり、有機物の有効なトレーサーとして利用することができる。本研究では、流域環境が異なる河川における粒子態有機物の移行挙動を炭素同位体比を用いて検討した。 九頭竜川水系は福井県に位置し、146の支流から構成されている。本研究では、九頭竜川本流と主要な支流の日野川を調査地域に設定し、下流域の1地点で2010年に4回、河川水約120Lを流心から採取した。連続遠心機を用いて河川水から懸濁粒子を分離し、凍結乾燥した後にメノウ乳鉢で粉砕して粉末試料とした。有機物のC-14/C-12の測定は、1M塩酸で炭酸塩の除去を行った試料について、日本原子力研究開発機構青森研究開発センターむつ事務所の加速器質量分析計により行った。測定した値は△14C = ((pMC/100)-1) x 1000)として表した。また、C-13/C-12の測定は、質量分析計により行い、δ13C値として表した。河川懸濁粒子と沿岸域堆積物の有機炭素含量、全窒素含量は元素分析計により測定した。 河川懸濁粒子有機物のδ13C値は、九頭竜川で-26.3‰から-24.0‰、日野川では-27.0‰から-26.1‰であった。一方、△14C値は九頭竜川で-168‰から-87‰、日野川で-209‰から-143‰であり、九頭竜川の方が見かけ上、新しい有機物で構成されていることが明らかとなった。また、C/N比の平均値は、九頭竜川で9.1 ± 1.1、日野川で8.2 ± 1.1と、炭素同位体比と同様に九頭竜川と日野川で違いが認められた。これらの懸濁粒子の有機物の特徴の違いを検討した結果、流域の特徴と流量が関係する可能性が示唆された。