日本地球惑星科学連合2014年大会

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ポスター発表

セッション記号 A (大気海洋・環境科学) » A-HW 水文・陸水・地下水学・水環境

[A-HW28_30PO1] 流域の水及び物質の輸送と循環-源流域から沿岸域まで-

2014年4月30日(水) 18:15 〜 19:30 3階ポスター会場 (3F)

コンビーナ:*知北 和久(北海道大学大学院理学研究院自然史科学部門)、入野 智久(北海道大学 大学院地球環境科学研究院)、小野寺 真一(広島大学大学院総合科学研究科)、中屋 眞司(信州大学工学部土木工学科)、小林 政広(独立行政法人森林総合研究所)、齋藤 光代(岡山大学大学院環境生命科学研究科)、吉川 省子(農業環境技術研究所)、奥田 昇(京都大学生態学研究センター)

18:15 〜 19:30

[AHW28-P15] 瀬戸内海島嶼部における地下水利用-尾道市瀬戸田町生口島の事例-

*谷口 智雅1小野寺 真一2高橋 英博3齋藤 光代4清水 裕太5 (1.三重大学人文学部、2.広島大学大学院総合科学研究科、3.(独)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター、4.岡山大学大学院環境生命科学研究科、5.(独)農研機構 近畿中国四国農業研究センター, 学振PD)

本研究は、降水量が少なく、水資源も限られており渇水リスクの高い瀬戸内海島嶼地域における尾道市瀬戸田町生口島を対象として、アンケート調査による地下水利用の実態把握を行った。アンケート調査は、柑橘栽培農業が盛んに行われており、農業用水用水源に地域的差がある尾道市瀬戸田町宮原地区と林地区を対象に選択式アンケート票を用いた対面方式により2013年7月13~15日の期間に行った。宮原地区は人口446人(203世帯)、林地区は人口1,201人(519世帯)で、その内、宮原地区で90世帯、林地区で146世帯からアンケート結果が得られた。
本対象地域の上水道はかつて島内の水を水源としていたが、安定した水源確保のため島外からの受水が開始され、現在では島外からの受水量を充実させている。かつては、地下水を水源として頼っていたため、家庭用井戸の所有率も宮原地区で74.4%、林地区で61.6%と高くなっている。しかし、井戸は所有しているが、利用していない世帯もある。用途としては、宮原地区・林地区ともに庭の散水や洗車としての雑用水としての利用が多く、家事や洗濯、風呂などにも利用している世帯も見られる。また、飲用水として利用している世帯も宮原地区で6世帯、林地区で10世帯あった。さらに、渇水期における農地の井戸の地下水量について、十分でないと感じている人は宮原地区で約21%、林地区で18%と、地下水の賦存量は少なくないと感じており、島内の重要な水資源として認識されている。また、アンケートによる用途結果から生活用水としての1日あたりの地下水利用量の推計を行った結果、宮原地区で1世帯平均361.1リットル、林地区で1世帯平均270.7リットルが利用されていると算出された。
本調査は科研費基盤研究(A)(No.25241028、研究代表者:小野寺真一) の支援によって行われた。