日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 B (地球生命科学) » B-GM 地下圏微生物学

[B-GM22_30AM2] 地球惑星科学と微生物生態学の接点

2014年4月30日(水) 11:00 〜 12:45 415 (4F)

コンビーナ:*砂村 倫成(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、木庭 啓介(東京農工大学大学院農学研究院)、高井 研(海洋研究開発機構極限環境生物圏研究センター)、座長:井尻 暁(独立行政法人海洋研究開発機構)、柳川 勝紀(海洋研究開発機構)

12:30 〜 12:45

[BGM22-13] 熱アルカリ細胞溶菌法による海底下微生物群集構造解析

*諸野 祐樹1寺田 武志2星野 辰彦1稲垣 史生1 (1.海洋研究開発機構 高知コア研究所、2.マリン・ワーク・ジャパン)

キーワード:海底下生命圏, DNA抽出, アーキア

環境試料を用いた分子生態学的解析では、対象とする微生物群集全体から試料となる核酸が抽出されることを前提としている。地球上に存在する微生物の半数以上が生息すると言われている海底下の堆積物を対象に市販キットによる核酸抽出を行い、SYBR Green Iによって残渣中の微生物濃度を計測したところ、抽出操作によって溶菌する微生物の割合は場合によっては20%以下であることが明らかになった。本研究では、環境中に生息する微生物群全体の姿を捉えることを目指し、微生物破砕効率の高率化と核酸抽出手法としての確立を目的とした。地球深部探査船「ちきゅう」などによって採取された海底下堆積物について、アルカリ溶液や市販のキットを含む複数の条件でDNAを抽出したところ、アルカリ溶液を用いた時に95%を超える溶菌率が得られた。しかし、アルカリ処理によるDNAへの影響を調べたところ、一本鎖化だけでなくDNA自体の断片化も引き起こすことが明らかとなった。DNAの断片化を抑えつつ、溶菌率を向上させる条件の検討の後に、それぞれのDNA抽出物に含まれるバクテリア、アーキアの存在比の測定を行ったところ、溶菌率の違いによって構成種にも違いが見られた。このことから、抽出によるバイアスが実際に微生物群集構造解析の結果に影響を与えていることが示唆された。