日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

インターナショナルセッション(口頭発表)

セッション記号 B (地球生命科学) » B-PT 古生物学・古生態学

[B-PT02_1PM1] Biocalcification and the Geochemistry of Proxies

2014年5月1日(木) 14:15 〜 15:45 421 (4F)

コンビーナ:*豊福 高志(独立行政法人海洋研究開発機構)、北里 洋(独立行政法人海洋研究開発機構海洋・極限環境生物圏領域)、Bijma Jelle(アルフレッドウェゲナー極域海洋研究所)、座長:豊福 高志(独立行政法人海洋研究開発機構)

15:30 〜 15:45

[BPT02-19] 相模湾・初島沖海底における酸素分布の長時間時系列観測

小栗 一将1、*北里 洋1野牧 秀隆1坂井 三郎1豊福 高志1岩瀬 良一1 (1.海洋研究開発機構)

キーワード:堆積物-水境界, 酸素, オプトード, メイオベントス

堆積物-水境界における酸素濃度は、物理、化学的、そして生物活動によって常に変動している。とりわけ底生生物によって引き起こされるバイオターベーションやバイオイリゲーションは、海底へ拡散によって浸透するよりも多くの酸素を供給するため、堆積物表層部を酸化的な環境に維持に重要な役割を担っている。では、実際の深海底において、酸素と生物はどのような関わりがあるのか?この疑問に答えるためには、酸素センサやカメラを現場に持ち込み、時系列観測する必要がある。しかしながら、航海の機会が限られること、水圧という厄介な存在によって、なかなか測定を行うことは出来なかった。そこで、酸素によって消光を起こす蛍光色素を用いた「二次元酸素プトード」という酸素濃度を可視化するセンサを開発し、これを海底に持ち込んで堆積物-水境界の酸素プロファイルを時系列観測した。センサに使用する蛍光色素には感度の高いものを選び、酸素極小層(~50μM)での測定に最適化した。場所は相模湾・初島沖の水深1170m、観測期間は2008年1月21日から31日、測定は一時間間隔で自動的に行い、必要となる電源は初島観測ステーションから供給した。この結果、245枚の酸素濃度プロファイルと、海底断面のモノクロ画像をそれぞれ得た。これらの画像を解析した結果、以下の現象を確認した。(1)酸素が浸透する深さは5~8mmであった。(2)小さなゴカイによる活動により、巣穴の付近にはより多くの酸素が供給された。その場所では、酸素が検出される深さは~10mmに達した。(3)堆積物中・あるいは直上の酸素濃度は時間によって変動した。(4)堆積物直上の水中の酸素濃度は、微地形や流れの影響を受け変動した。(5)酸素が検出されない深さで、メイオベントスが活動していることを確認した。本発表では、以上の結果を酸素濃度プロファイルとともに紹介する。