日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 B (地球生命科学) » B-PT 古生物学・古生態学

[B-PT26_2AM2] 古代ゲノム学

2014年5月2日(金) 11:00 〜 12:30 421 (4F)

コンビーナ:*遠藤 一佳(東京大学大学院理学系研究科)、大河内 直彦(海洋研究開発機構)、小宮 剛(東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻)、座長:小宮 剛(東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻)

12:15 〜 12:30

[BPT26-P01_PG] 海洋有光層ユーキシニアの発生条件:海洋生物化学循環モデルからの制約

ポスター講演3分口頭発表枠

*大井手 香菜1尾崎 和海2田近 英一1 (1.東京大学大学院、2.東京大学大気海洋研究所)

キーワード:海洋無酸素イベント, 生物地球化学循環, リン循環, アノキシア/ユーキシニア, 有光層ユーキシニア

顕生代においては、大気中の酸素濃度は基本的に現在とほぼ同様のレベルに維持されてきたと考えられている。しかし、海洋においては、しばしば一時的(<106年)に酸素の欠乏が起きたことが知られており、「海洋無酸素イベント(Oceanic Anoxic Events; OAEs)」と呼ばれている。
酸素の欠乏した水塊においては、硫酸還元が起き、硫化水素が発生する。したがって、貧酸素水塊は、無酸素かつ硫化水素に満ちた条件になることがあり、「ユーキシニア」と呼ばれる。
ペルム紀/三畳紀境界や白亜紀のOAE2などにおいては、緑色硫黄細菌のバイオマーカーが検出されており、大気とよく混合されているはずの有光層(~100m)が硫化水素に満ちていたことが示唆される。
このような、「有光層ユーキシニア」という非常に特殊な海洋環境は、どのような条件で発生するのかといった、その詳細はよく分かっていない。
そこで本研究では、海洋無酸素イベントに伴う有光層ユーキシニアの発生条件を明らかにするために、Ozaki and Tajika(2013) で開発された海洋生物化学循環モデルCANOPSを用いてその再現を試みた。
さらに、海洋表層を高空間解像度化することによって、有光層ユーキシニアにおける物質の鉛直分布とその時間変化を定量的に評価し、海洋無酸素イベントに伴う海洋一次生産者の変遷等についての理論的推定を試みる。