日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 G (教育・アウトリーチ) » 教育・アウトリーチ

[G-03_29PO1] 小中学校の地球惑星科学教育

2014年4月29日(火) 18:15 〜 19:30 3階ポスター会場 (3F)

コンビーナ:*畠山 正恒(聖光学院中学高等学校)

18:15 〜 19:30

[G03-P02] ポスト東日本大震災における防災地理教育の方向性

*遠藤 悠1山本 隆太2 (1.愛知教育大学大学院、2.早稲田大学大学院)

キーワード:東日本大震災, 地理教育, 防災教育, ESD, 認知と行動

東日本大震災を経験した現在、とりわけ環境教育の立場からは、「自然や環境について学べば人は自ずと問題を解決する主体となりうる」という教育観からの脱却が求められている。近年の地理教育ではESDを推進する立場から、防災教育などの課題解決型学習を取り上げる機会が増えているが、先の認知と行動が直接結びつくものではないという観点が十分に生かされているとはいえない。

学校における防災教育のねらいは,災害や防災について『知って』,『行動できる』子どもたちを育てることであった。しかしながら、従来の地理教育における防災教育では,①被災地の写真や地図を見せて被害状況と地形環境との関連を指摘することや,②新旧の地形図を比較する活動を行うことで子どもたちが「危険な場所」を特定させるという事象の認知に留まっていた。また、そこから導き出される想定防災行動は、避難経路やハザードマップなどに代表される、地球科学的(科学的)に合理的な行動のみであった。こうした教育活動に対して震災が突き付けた課題とは、災害時の混乱かつ不確実な状況下においては、科学的・合理的な判断に加えて、心理的・倫理的な判断と行動が求められるということである。こうした災害時の倫理的判断に対して、たとえば防災道徳の動きが立ち上がっている。また、科学的な認識を重視する地理教育においても、「いのち」に関する議論が始まりつつある。

そこで本発表では、防災教育の科学的側面と倫理的側面を架橋するアプローチについて、具体的事例を交えて論を展開する。