日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-CG 地球人間圏科学複合領域・一般

[H-CG36_29PM2] 原子力と地球惑星科学

2014年4月29日(火) 16:15 〜 17:45 411 (4F)

コンビーナ:*梅田 浩司(独立行政法人 日本原子力研究開発機構 東濃地科学センター)、吉田 英一(名古屋大学博物館)、座長:吉田 英一(名古屋大学博物館)

17:30 〜 17:45

[HCG36-P07_PG] ベントナイトのメチレンブルー吸着量測定法の現状と改良

ポスター講演3分口頭発表枠

*堀内 悠1三好 陽子1高木 哲一1 (1.産業技術総合研究所)

キーワード:べんとないと

1.はじめに
ベントナイトのメチレンブルー吸着量測定法は,従来日本ベントナイト工業会によるJBAS107-77およびJBAS107-91などが用いられているが,現行の測定法にはあいまいな部分が多く,測定者の経験や判断に頼るところの大きい試験法であるため,主にベントナイトを扱う各企業内での基準に従い品質管理の目安とする目的で使用されてきた.しかし,現在,廃棄物処分場等の安全性の確保が求められる分野でベントナイトの需要が増えてきたことなどから,公に示すことのできる正確な測定が求められている.本研究では従来の測定法に代り,再現性のある新たな測定法を提案することを目標とし,現状の調査を行った.
2.調査結果
 2013年秋から2014年1月末現在までに,ベントナイトを扱う一般企業等13社に対してメチレンブルー吸着量測定法の現状を取材し,現在行っている測定法の詳細についてアンケートを行った.アンケートの結果,現在メチレンブルー吸着量測定を行っている企業が10社,そのうちJBASの手法に則った手法での測定は8社で行われていた.また,比色法など,JBASで規定されていない独自の手法を用いている企業は,JBASの手法との複合手法を行っている2社を含め4社であった. 従来法のJBASにしたがった測定では,試薬の作成,試料の乾燥時間および終点の判定方法などの点で,企業によるばらつきと工夫がみられた.また,比色法等の手法を行っている理由として,終点を数値で判断できる・短時間での測定ができるといったことが挙げられた.
3.考察
試験方法でばらつきや工夫がみられた部分は,従来法で規定のあいまいであった点・手間のかかる点に多くみられ,各企業が試験法のあいまいさを回避するとともに迅速な手法を検討したことがうかがわれた.しかし,試験法の改善を行って以来20年ほど経つこともあり,工夫の経緯については不明な企業も多い.このことから,従来法を改善し新たな試験法を提案するよい機会であると考えられる.また,各企業にみられる独自の工夫は,最大限に時間と費用を節約する内容のものが多く,消耗品の使用を抑えるとともに,一秒でも時間短縮し効率化しようとする傾向がみられた.
4.結論と課題
本研究で提案を目指す測定法は,従来法のあいまいさをなくすこととともに費用のかからない迅速な手法であることが求められる.また同時に,廃棄物処分等で安全性の確保が求められる場合でも十分な精度が得られるような試験法である必要がある.今後,メチレンブルーが吸着平衡に至る時間や,ベントナイトの産地による分散・吸着特性の違いなどを検討する予定である.