日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-DS 防災地球科学

[H-DS27_1PO1] 津波とその予測

2014年5月1日(木) 18:15 〜 19:30 3階ポスター会場 (3F)

コンビーナ:*林 豊(気象研究所)、Mas Erick(International Research Institute of Disaster Science)、馬場 俊孝(海洋研究開発機構)

18:15 〜 19:30

[HDS27-P02] 東京湾内外における津波のスペクトル解析

*瀧川 朗1室谷 智子1Heidarzadeh Mohammad1Wu Yifei1佐竹 健治1 (1.東京大学地震研究所)

キーワード:津波, スペクトル解析, 東京湾, 1923年大正関東地震, 2011年東北地方太平洋沖地震

関東地方沿岸は度々、巨大地震による大津波に襲われてきた。そのうち1923年の大正関東地震(M7.9)による津波の高さは、東京湾の内外で大きく異なっていたことが報告されている。例えば、房総半島南側および伊豆半島東側から相模湾といった東京湾外の沿岸域では3~10 mの津波が押し寄せたのに対して、湾内の品川・船橋・千葉では1 m未満であった(羽鳥ほか, 1973, 関東大地震50周年論文集)。
一方、2011年の東北地方太平洋沖地震(Mw9.0)による津波は関東地震によるものとは異なり、湾内外での高さの違いがあまり見られなかった。例えば東京湾入口付近の館山・鋸南でそれぞれ1.45, 1.60 mであったにも関わらず、東京湾入口で減衰することなく東京・船橋でもそれぞれ1.46, 2.84 mであった (Sasaki et al, 2012, CEJ)。
これら2つの地震による津波の挙動の違いの原因を知ることは、将来首都圏に押し寄せる津波を見積もる上で重要である。そこで我々は、両地震の津波シミュレーションによる再現波形および東北地方太平洋沖地震の観測波形のスペクトル解析を行い、東京湾内での津波の卓越周期が両地震で異なることを発見した。関東地震による津波の卓越周期は約100分であったのに対し、東北地方太平洋沖地震のそれは約70分であった。我々は前者を東京湾の固有振動(相田, 1996, 地震)、後者を相模湾の固有振動(今井ら, 2011, 地震学会)によるものと推測した。今後は、これらの卓越周期の違いと津波の挙動との関連性を考察していく予定である。