日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-GM 地形学

[H-GM22_30AM2] 地形

2014年4月30日(水) 11:00 〜 12:45 422 (4F)

コンビーナ:*島津 弘(立正大学地球環境科学部地理学科)、小口 千明(埼玉大学・地圏科学研究センター)、瀬戸 真之(福島大学うつくしま福島未来支援センター)、座長:瀬戸 真之(福島大学うつくしま福島未来支援センター)

12:15 〜 12:30

[HGM22-P10_PG] ハロイサイトの結晶成長による火山砕屑岩の体積膨張-東通原子力発電所の例-

ポスター講演3分口頭発表枠

*中田 英二1大山 隆弘1鳥越 祐司2三和 公2千木良 雅弘3 (1.電力中央研究所、2.東北電力、3.京都大学防災研究所)

キーワード:ハロイサイト, 体積膨張, 東通

火山砕屑岩が風化作用により体積膨張おこしていることを確認した。調査地点は、東通原子力発電所敷地内トレンチで実施した。トレンチでは浅所に褐色強風化した中新統の泊層、蒲野沢層が認められる。泊層は主に凝灰角礫岩からなり、一部に安山岩溶岩等が認められる。蒲野沢層は主に砂岩、泥岩からなり、礫岩や凝灰岩層が認められる。これらの地層を中位段丘が覆い、白色の洞爺(約11万年)、十和田レッド(約8万年)などの示標テフラが認められる。十和田レッドの下位までの段丘堆積物には凸状の地形の変状が認められ、活断層の有無について議論が行われている。
凸状の変状は断層破砕帯では上載層へのモンモリロナイトの吸水膨張にともなう押し出しにより形成されている。他にも、褐色化を帯び、強く風化作用を受けた泊層、蒲野沢層では断層部周辺でも認められる。断層と関係無い箇所でも段丘堆積物に変状が認められる箇所もある。
凝灰角礫岩からなる泊層の湿潤試料をもちいたXRD分析結果からは、弱く風化を受けた深部の岩石中にモンモリロナイトが認められ、表層の強風化部に向かってハロイサイトが増加する傾向がある。同様に深部では斜長石が認められるものの表層に向かって斜長石は認められなくなっている。SEM観察では、モンモリロナイトから柱状のチューブ状[柱状のチューブ状は変。単にチューブ状?]のハロイサイトが生成しており、浅所ほどチューブ状のハロイサイトが成長するとともに、割れ目全面がハロイサイトで覆われ、柱状結晶が扇状に広がる様子が認められる。薄片観察では斜長石内にハロイサイトが生成するとともに、砕屑粒子間の距離が広がり、浅所ほど岩石が膨張していることがわかる。
岩石要素内のTiO2が風化時に不動と仮定すると、風化した凝灰角礫岩(泊層)の体積は、新鮮な凝灰角礫岩と比べ約1.3倍~1.5倍膨張している結果が得られた。
泊層では最初に粒子表面にモンモリロナイトが生成し、表層の劣化部では斜長石が溶解し、Si,Alに富む溶液が形成され、粒子表面のモンモリロナイトからハロイサイトが生成したと考えられる。砕屑粒子間の間隙にハロイサイトが結晶成長することで膨張が進み、断層や節理をすべり面として逆断層センスの変位が生じて上載層が凸状に変形したと考えられる。