日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS24_28PM2] 地球流体力学:地球惑星現象への分野横断的アプローチ

2014年4月28日(月) 16:15 〜 17:45 313 (3F)

コンビーナ:*伊賀 啓太(東京大学大気海洋研究所)、中島 健介(九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)、吉田 茂生(九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)、柳澤 孝寿(海洋研究開発機構 地球内部ダイナミクス領域)、相木 秀則(海洋研究開発機構)、座長:吉田 茂生(九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)

16:45 〜 17:00

[MIS24-13] 回転円筒内の磁気対流の線形安定性と波動

*堀 久美子1竹広 真一2清水 久芳1 (1.東京大学地震研究所、2.京都大学数理解析研究所)

天体内部の対流運動(例えば、地球コアの対流運動)やそれに伴う磁場の時間変動を考える上での基礎を得るために、境界面の傾いた回転円筒中で外部磁場を与えた場合に生じる熱対流の線形安定解析を行った。この円筒モデルは、非磁場下では、回転球または回転球殻内でおこる対流の特徴を定性的に表現できることがよく知られている。しかし、磁場が存在する場合についてはそれほど明確に知られていない。本研究では、重力、回転軸、および外部磁場の方向がそれぞれ直行する状況下で起こる二次元的な対流運動を考え、その臨界状態における振動解の分散関係と中立曲線を系統的に調べた。また、対流駆動型 MHD ダイナモ数値実験よりその影響が指摘された、熱的境界条件の影響も合わせて検討した。その結果、熱拡散と磁気拡散の強さの比によって、対流運動が異なることがわかった。熱拡散に比べて磁気拡散が強い場合には、自転の順行方向に伝播する遅い波動モード(磁気ロスビー波)が現れるのに対し、熱拡散がより強い場合では様々な波動モードが現れ、逆行方向に伝播する遅い波動も複数起こりうる。これに伴い、中立曲線や対流を生ずる臨界モードも変化する。磁気拡散が強い場合には順行方向に伝播する磁気ロスビー波が、熱拡散が強い場合には逆行方向に伝播する遅い波動モードの一つ(遅いMC波)が、最小の臨界レイリー数を与える。また、温度固定型境界条件に代わり熱流固定型境界条件を課した場合、その影響は磁気拡散が強い場合でより顕著であることがわかった。そこでは、中立曲線が水平波数に対して単調増加するような関数となり、水平スケールの大きい対流セルほど発生しやすいことが示唆される。一方、熱拡散が強い場合では、複数の波動モードが存在することによって中立曲線が複雑に構成され、熱流固定型熱的境界条件の影響は明瞭に確認できなくなることがわかった。