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[MIS30-11] 全ゲノム増幅法を用いた氷河中の花粉1粒ずつの同定
キーワード:氷河, アイスコア, 花粉分析, マツ属, DNA, 全ゲノム増幅
氷河から見つかる花粉は、他の堆積物試料から見つかる花粉と異なり、細胞内物質(原形質)を残存しているものが多い。このことは、氷河中の花粉から遺伝情報が取得できる可能性を示唆する。従来の花粉分析は、花粉の形態によって分類群を同定するため、形態の類似した近縁種の識別は難しく、科あるいは属レベルでの同定に留まる場合が多かった。氷河に含まれる花粉をDNA分析しその遺伝情報が得られれば、属より下位の階級で同定が可能となる。そこで本研究では、ロシア・アルタイ山脈にあるベルーハ氷河から採取した表層積雪中のマツ属花粉を用いて、DNA分析から詳細な同定を試みた。マツ属の下位の階級には、2亜属、4節、17亜節、約111種が存在する。各マツ属花粉に含まれるゲノムDNAは、全ゲノム増幅法によって増幅し、葉緑体DNAの塩基配列解析を行った。その結果、亜節レベルでの同定が可能となり、さらに花粉種の候補を約10種まで絞ることに成功した。