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[MIS30-P12_PG] アジア大陸内陸部における過去3.3万年間の古環境復元
ポスター講演3分口頭発表枠
アジア大陸内陸部は、日射量変動に対して、地球上で最も鋭敏に応答してきた地域である。このため、気候変動に対する陸域環境の応答特性を理解する上で格好のフィールドと見なされている。本研究では、シベリア南東部・バイカル湖湖底堆積物の化学分析の結果を報告する。全有機炭素(TOC)は、0.30~2.67(wt%)濃度を持ち、その濃度は、日射量変動の2万年周期に対応するように変動する。有機物の起源の指標となるTOC/TNは、最終氷期では8.35(wt%)を、完新世では17.20(wt%)を示す。このことから、バイカル湖における氷期の有機物は湖内性であり、完新世では、湖内性に加えて集水域からの有機物成分の流入があることを示唆する。TS/TOC比は、過去の3.3万年間において、5つのピークが認められた。このうち、12.66 kaのピークが最大の値を示し、この時期はヤンガードリアス期に対応する。また、この時期のTOC/TN比は、その前後の時代に比べて低い値を示す。一般に、バイカル湖では、湖底堆積物中の硫黄は、硫酸還元バクテリアによる有機物分解によって増加するものと考えられている。このため、TS/TOC比は、湖水の還元化の指標と見なされている。ヤンガードリアス期における湖水の還元化は、低塩濃度(低密度)の河川水の流入により、湖水の密度成層よって生じたものと解釈することができる。生物起源シリカ濃度は、0.82~21.47(wt%)濃度を持ち、その濃度変動は、TOCとは異なり、6 kaでピークを示し、現在にかけて減少傾向を示す。これらの変動は、GCMモデルや花粉分析から復元された年平均気温変化と対応するものであり、バイカル湖では生物起源シリカ濃度が気温の指標となることを意味するものである。