18:15 〜 19:30
[MIS30-P19] 珪藻遺骸群集を用いた南極宗谷海岸の沿岸湖沼における環境復元
キーワード:南極沿岸湖沼, 古湖沼学, 珪藻, 完新世, 堆積物コア
宗谷海岸は南極大陸の東南極の沿岸であり、昭和基地が位置するオングル島を始め、ラングホブデ(Langhovde)、スカルブスネス(Skarvsnes)、スカーレン(Skallen)、ルンドボークスヘッタ(Rundvagshetta)のような露岩地域が広がっている。このような露岩地域には淡水から海水の数倍の塩分を含む湖沼が数多く分布している。研究地域である5つの湖沼はランクホブデのぬるめ池と雪鳥池、スカルブスネスの親子池、ルンドボークスヘッタの丸湾南池と丸湾大池である。
Matsumoto et al, 2014, では親子池における完新世の古湖沼学的変動について研究を行った。この研究では親子池で採取した湖底堆積物コア(Ok4C-1)に軟X線撮影・放射性炭素年代測定・元素分析・クロロフィル化合物およびカロチノイド分析・藻類及びシアノバクテリアの分析を行い、親子池はTOC濃度が低く珪藻が主体であった沿岸海洋環境から、成層化し緑色硫黄バクテリアが生息する塩湖環境へ、さらに緑藻およびシアノバクテリアが主体となって生物生産量が高い現在のような淡水湖に変化したと報告している。このような親子池の変遷は氷床の後退伴うアイソスタシーによる隆起で海退したことが原因とされている。
現在、親子池の湖底堆積物コア(Ok4C-1)について化石珪藻の同定・カウントを行い、ダイアグラムを作成した。珪藻群集により5つのZoneに分け、下部からZone1とした。Zoneごとの優占種はZone1では海水性種のParalia sulcata、Zone2ではStaurosira construens、Zone3では海水性種のTryblionella littoralis、Zone4では汽水性種のChamaepinnularia Cymatopleura、Zone5では淡水性種のAmphora oligotraphenta, Navicula gregaria, Diadesmis spp.となった。珪藻群集の変化からも親子池の水環境が沿岸海洋環境から淡水湖環境に推移してきたことが分かり、先行研究の結果とも整合性がある結果となった。今後、4つの湖沼堆積物コアでも化石珪藻分析を行う予定である。
Matsumoto et al, 2014, では親子池における完新世の古湖沼学的変動について研究を行った。この研究では親子池で採取した湖底堆積物コア(Ok4C-1)に軟X線撮影・放射性炭素年代測定・元素分析・クロロフィル化合物およびカロチノイド分析・藻類及びシアノバクテリアの分析を行い、親子池はTOC濃度が低く珪藻が主体であった沿岸海洋環境から、成層化し緑色硫黄バクテリアが生息する塩湖環境へ、さらに緑藻およびシアノバクテリアが主体となって生物生産量が高い現在のような淡水湖に変化したと報告している。このような親子池の変遷は氷床の後退伴うアイソスタシーによる隆起で海退したことが原因とされている。
現在、親子池の湖底堆積物コア(Ok4C-1)について化石珪藻の同定・カウントを行い、ダイアグラムを作成した。珪藻群集により5つのZoneに分け、下部からZone1とした。Zoneごとの優占種はZone1では海水性種のParalia sulcata、Zone2ではStaurosira construens、Zone3では海水性種のTryblionella littoralis、Zone4では汽水性種のChamaepinnularia Cymatopleura、Zone5では淡水性種のAmphora oligotraphenta, Navicula gregaria, Diadesmis spp.となった。珪藻群集の変化からも親子池の水環境が沿岸海洋環境から淡水湖環境に推移してきたことが分かり、先行研究の結果とも整合性がある結果となった。今後、4つの湖沼堆積物コアでも化石珪藻分析を行う予定である。