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[MIS32-P05] 相模トラフ沈み込み帯インプット把握のための反射法地震探査
キーワード:反射法地震探査, 相模トラフ, 沈み込み帯インプット
相模トラフはフィリピン海プレートが関東地方を含む東北日本の下に沈み込むプレート収束域である。このプレート収束運動に伴って大小さまざまな地震活動が発生している。例えば1703年元禄地震や1923年大正関東地震などはマグニチュード(M)8クラスの巨大地震であり関東地方に大きな被害をもたらしている。一方、房総沖において5-7年周期のスロースリップイベントが観測されており、スロースリップイベントによって解放されるエネルギーはMw6に匹敵する。これら相模トラフ周辺でのM8クラス巨大地震およびスロースリップイベント発生深度はほぼ同じと考えられている。これら違いをもたらす原因の一つとして、相模トラフ沈み込み帯におけるインプットの違いが考えられており、そこでの地下構造や地下物質の把握は重要である。将来フィリピン海プレートとともに沈み込んでいく堆積層や基盤の組成、構造や物性などを理解するために、インプット掘削の掘削提案も検討されている。このような観点から、海洋研究開発機構(JAMSTEC)は相模トラフ沈み込み帯のインプット側であるフィリピン海プレート上で反射法地震探査を2013年4月に実施した。相模トラフの約50㎞南側にトラフとほぼ平行な西北西―東南東方向で測線長約270㎞のデータ取得を予定したが、天候不良のため当初予定のほぼ半分である火山フロント付近から海溝陸側斜面上部付近までの範囲の取得となった。取得データから測線下の堆積層分布や基盤形状の把握が可能となった。それによると堆積層内は大きく3つのユニットに区分することができる。基盤形状は測線において大きく変化しており、火山フロント付近や伊豆小笠原の古島弧であるFrontal ArcおよびOuter Arc Highの北方延長付近において海底付近まで高まっていることが確認できた。一方それら高まりの間には海底下4㎞にも達するような基盤の落ち込みが存在し厚い堆積構造が確認できる。既存測線との交点から、相模トラフ軸付近への堆積層や基盤の連続性を確認することも可能となった。既往結果との比較から堆積層や基盤の年代推定や物質推定を行い、相模トラフ沈み込み帯のインプット把握を行うとともに、相模トラフ周辺域の地震活動についても考察していきたい。