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[MIS35-10] ジオパークによる学校教育の進展 -糸魚川世界ジオパークの例-
キーワード:ジオパーク, 学校教育, 糸魚川
ジオパークは,地球と人との関係をさぐる学習公園であると同時に,持続可能な地域社会づくりの運動でもある.教育は,持続可能な社会を担う人材を育てる仕組みとしてジオパークにおいて重要視されている.糸魚川は,2009年,世界ジオパーク認定を契機に,持続可能な地域社会づくりに着手した.糸魚川市教育委員会は,教育におけるジオパークの役割をいちはやく認識して,義務教育課程(小学校,中学校)にジオパーク学習を導入した.その最初は,2009年に策定された,0歳から18歳までの子ども一貫教育という新しい方針であり,その中でジオパーク学習が明確に位置づけられた.以降,教育委員会は、以下に述べるようなジオパーク学習への支援を行い,いくつかの成果が得られている.(1) 理科教育センターのスタッフが増員され,また,教員組織である糸魚川市教育研究会にジオパーク部が設置された.(2) これらの組織や糸魚川ジオパーク協議会によって教員向けの研修会(室内・野外)が開催され,授業への準備対応や応用例が研究されている.(3) 小学校,中学校,高校が参加したジオパーク学習の発表会が行われ,学習方法や成果の交流が行われている.(4) ジオパーク副読本4冊(小学3-4年理科,小学5-6年理科,小学3年社会科,小4-中3総合学習)が作成配布され,地球科学と歴史,文化との関連が示された学習素材が提供されている.副読本の作成にあたっては,教員,専門家,市民などが参加したそれぞれの編集委員会がつくられた.(5) ジオサイトに教育用サイトがつくられ,野外解説板や観察を支援するリーフレットが準備された.これは小学6年生と中学1年生が授業で使う地層観察用のものである.(6) 防災学習にジオパーク学習が利用され,とくに根知小学校の取り組みが,2012年に防災教育大賞(内閣府主催)を,2013年に「小学生の部・ぼうさい大賞」(兵庫県等主催)をそれぞれ受賞した.(7) 糸魚川の大地や海で育った食材を使った特別な料理を食べ,ジオパークの大地の恵みと食との関係を知るジオ給食の日が設けられた.(8) 糸魚川ジオパークと香港ジオパークとの姉妹ジオパーク協定によって,新たな国際教育プログラムとして両者の小学生と中学生の交流が始まった.