日本地球惑星科学連合2014年大会

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ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-TT 計測技術・研究手法

[M-TT41_28PO1] 地球惑星科学における地図・空間表現

2014年4月28日(月) 18:15 〜 19:30 3階ポスター会場 (3F)

コンビーナ:*小荒井 衛(国土地理院地理地殻活動研究センター地理情報解析研究室)、鈴木 厚志(立正大学地球環境科学部)

18:15 〜 19:30

[MTT41-P01] 新たな多色刷2万5千分1地形図の刊行について

*宇根 寛1根本 正美1 (1.国土地理院)

キーワード:2万5千分1地形図, 地理空間情報活用推進基本法, 電子国土基本図, プロセス印刷

情報通信技術の急速な発展に伴い、国の基本図も大きな変化を遂げている。地球科学研究の基礎を支えている国土地理院の2万5千分1地形図についても、その作成工程がこれまでと大きく異なるとともに、より詳細で地形が理解しやすい内容となった多色刷2万5千分1地形図として2013年11月から新たに刊行が開始された。
新たな2万5千分1地形図は「電子国土基本図」をベースにしており、作成工程が大きく変更された。これまでの地形図作成の最大の特徴だった空中写真撮影~図化の工程は含まれず、電子国土基本図のベクトルデータをそのまま調製・印刷している。
このような変更の出発点となったのは2007年の「地理空間情報活用推進基本法」の制定である。この法律では、特に電子地図上における位置の基準として基盤地図情報を国が整備・利用することが規定された。国土地理院では2500分1都市計画基図、2万5千分1地形図などを活用して基盤地図情報の整備を推進し、2011年度末までに全国の基盤地図情報を概成させ、さらにこの基盤地図情報を骨格として電子国土基本図の整備が行われた。
新たな2万5千分1地形図は、電子国土基本図をベースとすることで、これまでの2万5千分1地形図と比べて内容はより詳細になった。更にプロセス印刷を導入したことで多色化が可能になり、幾つかの表現方法が初めて実現された。
内容の詳細化とは、特に都市計画区域では情報が2500レベルの精度になっていることを指す。これは、電子国土基本図が都市計画区域では2500レベル、それ以外の地域は25000レベルで整備されていることに由来する。これにより、これまで総描されていた密集している市街地の建物が、総描されずに各々が表示されるようになった。また、市街地の道路は取捨選択されていたが、今回からは取捨選択しないので道路の表示密度が高くなっている。
プロセス印刷導入に伴って新たに実現された表現方法としては、緑色の陰影を付加して地形が直感的に把握できるようにしたことと、建物を橙色にして道路や地名などとの輻輳を避けたことがあげられる。その他、高速道路、国道、都道府県道をそれぞれ緑色、赤色、黄色にしたり、カッコ書きだった国道番号を道路標識と同じ青色の逆三角形に変更するなど、多彩な色を使って表現することで、地形図の見やすさ・読みやすさが向上した。
国土地理院では、この他、電子国土基本図をもとにした画像データをインターネットを使ってオンラインで提供する「電子地形図25000」の提供を2012年から開始している。電子地形図25000では利用者が用途に応じて図の中心位置、画像のサイズと向きなどを選択でき、さらにモノクロ地図や陰影の有無を選択することができる。地球科学研究の背景図としてより使いやすくなったといえるだろう。
多色刷2万5千分1地形図は当面毎月10面程度が新たに刊行されており、数年後に全国の地形図が置き換えられる予定である。