日本地球惑星科学連合2014年大会

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[O-06_30PM1] 日本のジオパーク

2014年4月30日(水) 14:15 〜 15:59 メインホール (1F)

コンビーナ:*渡辺 真人(産業技術総合研究所地質情報研究部門)、住田 達哉(産業技術総合研究所)、座長:柴田 伊廣(室戸ジオパーク推進協議会)

15:07 〜 15:33

[O06-11] 南紀熊野ジオパーク構想の推進について

*東川 智昭1橋爪 正樹1田原 敬治1谷脇 智和1 (1.南紀熊野ジオパーク推進協議会)

キーワード:南紀熊野, ジオパーク

南紀熊野ジオパーク構想地域は本州最南端となる紀伊半島の南部地域で、和歌山県新宮市、白浜町、上富田町、すさみ町、那智勝浦町、太地町、古座川町、北山村、串本町の1市7町1村を範囲としております。東西、南北ともに60kmで総面積は約1,356k㎡となり、1,000mを越える急峻な山地から、沈水海岸による入り組んだ海岸線まで、様々な地形をもつ地域です。南紀熊野地域は、温暖湿潤な恵まれた気候条件にあるものの、大部分が険しい山々で覆われているため、平野が少なく、道も整わなかったことから古くから林業や漁業、海運業が人々の生活をささえてきました。また、この地域の地形や自然、文化は古来より遠く離れた都人たちにとって畏敬の対象となり、熊野信仰の地として多くの人々が訪れ栄えた歴史があります。そして近代には林業や漁業、海運業の基地として、また鉱物資源の採掘や製紙関連産業、温泉や観光開発などにより栄えた地でもあります。しかし、近年では、道路、鉄道、港湾、空港が整備され、交通の利便性はかつてに比べて大きく向上したものの、都市部との格差は大きく開き、過疎化や高齢化の進展、産業の衰退が目立ってきています。このような状況の中で、地球科学の進歩により、この地域の特異な地質や地形の形成過程が徐々に明らかになり、その存在自体も他に類をみないものであることがわかってきたところです。この地域は、プレートの一連の動きによって生み出された3つの地質体で構成されています。中央部は海洋プレートの沈み込みによって海溝付近で作られた付加体で構成されて、東部と西部は、付加体上で形成された前弧海盆堆積体で構成され、さらに東部には巨大な火成岩体が分布しています。プレートの出会いが生み出したこれらの3つの大地が存在する地域であり、プレートの沈み込みという地球の大きな営みをうかがい知ることができ、大地形成過程を示す3つのタイプの典型的な地質体がそろって見られる地域です。また、この地域で育まれきた文化や歴史、産業や人々の生活は、この地域の地質や地形を利用することによって培われたものであるとともに、この地域の誇りであり、後世に引き継ぐべき貴重な資産であるという認識も広まりつつあります。南紀熊野地域は、2004年に世界遺産登録された「紀伊山地の霊場と参詣道」の基幹となるエリアであり、「霊場」や「参詣道」とその「文化的景観」はすでに世界的に価値の高いものとして評価されています。だがそれだけにとどまらずこの地域の魅力や価値は、大地形成のダイナミズムとこの地域の自然の形成過程、自然と人々の向き合いを探ることによって、さらに高めることができると考えております。そしてそれはこの地域に住む人々の自信と誇りにつながり、資源として活用することで新しい生業や交流の創出につながるものとの考えのもとでジオパーク活動の取り組みが進められているところです。南紀熊野の地においてもジオパーク活動を進めることが、地域住民が主導する地域の持続可能な発展の太い柱になると考え、日本ジオパークネットワークへの加盟を申請します。そして、この地域内に、世界遺産、ラムサール条約登録湿地、国立公園が存在するという特色を活かして、それらと連携することで相互の価値を高めることができるという新しいジオパークの活動モデルを示すことで、日本ジオパークネットワークへの貢献を行いたいと考えています。