日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

インターナショナルセッション(ポスター発表)

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-CG 宇宙惑星科学複合領域・一般

[P-CG11_28PO1] Instrumentation for space science

2014年4月28日(月) 18:15 〜 19:30 3階ポスター会場 (3F)

コンビーナ:*松岡 彩子(宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所 太陽系科学研究系)、吉川 一朗(東京大学)

18:15 〜 19:30

[PCG11-P07] CASSIOPE衛星搭載中性粒子質量速度測定器(NMS)の初期運用結果

*栗原 純一1早川 基2栗原 宜子2 (1.北海道大学 大学院理学研究院、2.独立行政法人宇宙航空研究開発機構)

キーワード:中性粒子質量分析計, 大気流出, 非熱的速度分布

2013年9月29日に打ち上げられたCASSIOPE衛星に搭載されたEnhanced Polar Outflow Probe (e-POP) ミッション機器の一つである中性粒子質量速度測定器 (Neutral Mass and Velocity Spectrometer; NMS) の初期運用結果について報告する。e-POPミッションの科学目的は極域電離圏からのプラズマの流失過程および超高層大気からの中性大気の流失過程とその相互作用を探査することが目的であり、NMSは非熱的な速度分布を持つ中性粒子の頻度分布に対する定量的な把握に寄与することが期待されている。そのため、NMSは既存の衛星搭載中性粒子質量分析計とは異なる新しい原理を元に開発された。NMSは衛星進行方向に入射開口部を持ち、衛星に対する相対速度(7-8 km/s)で入射する中性粒子に対して、熱陰極型電子銃から射出される電子ビームによる電離を行う電離部、電離された中性粒子に対して垂直方向に印加する電場で加速して飛行時間型 (Time of Flight; TOF) 質量分析を行うと同時にMicrochannel Plate (MCP) とレジスティブアノードによる二次元位置検出を行う検出部、およびデータ処理部によって構成される。ある質量をもつ粒子に対して、粒子の検出位置から衛星に対する相対速度がわかり、その位置の分布から衛星速度を差し引くことで本来の速度分布が得られる。
衛星の初期運用段階において、NMSの機器としての状態に異常は見られないものの、電子銃を作動させない場合でも想定より数桁以上多い荷電粒子が検出されるという問題が明らかになった。この原因は入射してきた中性粒子が装置内面に衝突することで電離されるためと現時点では推測している。この場合に中性粒子の速度分布測定に及ぼす影響と定常運用後のデータ解析結果について考察する。