12:30 〜 12:45
[PPS21-P18_PG] 粒径分布が粉体の熱伝導率に与える影響の実験的調査
ポスター講演3分口頭発表枠
月表層レゴリスのような粉体の熱輸送メカニズムを理解することは、惑星の熱進化と現在の熱的状態を推定する上で重要である。粉体物質の熱伝導率は粒径やその分布、温度、圧縮応力など様々なパラメータに依存し、その程度によっては 1 桁以上変化するものである。実験的な研究が少ないため、熱輸送メカニズムの理解は不十分であり、実際の天体上での粉体熱伝導率を制約することは困難である。
本研究の目的は、熱伝導率のパラメータ依存性の系統的な調査によって、熱輸送メカニズムを理解することである。それによって熱伝導率をモデル化し、天体上の熱伝導率推定に応用する。これまでの粉体の熱伝導率に関する実験的研究の多くは、粒径が揃った粉体サンプルを用いたものであった。しかし、月レゴリスは μm サイズから mm サイズまでの粒子の混合物である。また、コンドライト隕石の母天体の構成粒子は、マトリックスサイズとコンドリュールサイズの粒子の混合物だと考えられる。このような粒径分布を持った粉体の熱伝導率に関する研究は、これまでに二例のみしか行われていない (Woodside and Messmer, 1961; Huetter et al., 2008)。本発表では、真空下において粉体の熱伝導率測定実験を行い、粒径分布の影響を調査した結果を報告する。
用いたサンプルはガラスビーズであり、粒径 100 μm と 200 μm の混合物である。調製したサンプルは全 5 種類であり、それぞれの粒径の質量混合比は 1:0, 2:1, 1:1, 1:2, 0:1 である。それぞれのサンプルの空隙率は 0.38, 0.35, 0.32, 0.35, 0.38 であった。これらのサンプルの熱伝導率は line heat source 法で測定した。
実験の結果、単一粒径サンプルの場合、100 μm と 200 μm のガラスビーズの熱伝導率はそれぞれ 0.0023 W/mK と 0.0035 W/mK であった。この熱伝導率の増加は、主に熱輻射の寄与の増加が原因である。一方、粒径混合物については、混合比 2:1, 1:1, 1:2 のサンプルの熱伝導率はそれぞれ 0.0039, 0.0029, 0.0039 W/mK であり、粒径混合物の熱伝導率は空隙率と良い相関を持っていた。また、測定された熱伝導率と混合率の間には直線関係は見られず、M 字型の変化を示すことが明らかになった。
測定した熱伝導率は、粒子間の接触面を通った熱伝導の寄与である固体伝導率と粒子表面間の熱輻射の寄与である輻射伝導率の和で表される。本実験で得られた結果は、固体伝導率と輻射伝導率の粒径分布変化による増減の程度によって説明されると考えられる。したがって、実験結果の解釈のためには、測定された値を固体伝導率と輻射伝導率に分離する必要がある。これは、輻射伝導率の強い温度依存性を利用し、熱伝導率の温度依存性を調査することによって可能となる (坂谷 他, 2013)。本発表では、各調製サンプルに対して熱伝導率の温度依存性の測定結果を合わせて、固体伝導率と輻射伝導率の粒径分布依存性についての結果を報告する。
本研究の目的は、熱伝導率のパラメータ依存性の系統的な調査によって、熱輸送メカニズムを理解することである。それによって熱伝導率をモデル化し、天体上の熱伝導率推定に応用する。これまでの粉体の熱伝導率に関する実験的研究の多くは、粒径が揃った粉体サンプルを用いたものであった。しかし、月レゴリスは μm サイズから mm サイズまでの粒子の混合物である。また、コンドライト隕石の母天体の構成粒子は、マトリックスサイズとコンドリュールサイズの粒子の混合物だと考えられる。このような粒径分布を持った粉体の熱伝導率に関する研究は、これまでに二例のみしか行われていない (Woodside and Messmer, 1961; Huetter et al., 2008)。本発表では、真空下において粉体の熱伝導率測定実験を行い、粒径分布の影響を調査した結果を報告する。
用いたサンプルはガラスビーズであり、粒径 100 μm と 200 μm の混合物である。調製したサンプルは全 5 種類であり、それぞれの粒径の質量混合比は 1:0, 2:1, 1:1, 1:2, 0:1 である。それぞれのサンプルの空隙率は 0.38, 0.35, 0.32, 0.35, 0.38 であった。これらのサンプルの熱伝導率は line heat source 法で測定した。
実験の結果、単一粒径サンプルの場合、100 μm と 200 μm のガラスビーズの熱伝導率はそれぞれ 0.0023 W/mK と 0.0035 W/mK であった。この熱伝導率の増加は、主に熱輻射の寄与の増加が原因である。一方、粒径混合物については、混合比 2:1, 1:1, 1:2 のサンプルの熱伝導率はそれぞれ 0.0039, 0.0029, 0.0039 W/mK であり、粒径混合物の熱伝導率は空隙率と良い相関を持っていた。また、測定された熱伝導率と混合率の間には直線関係は見られず、M 字型の変化を示すことが明らかになった。
測定した熱伝導率は、粒子間の接触面を通った熱伝導の寄与である固体伝導率と粒子表面間の熱輻射の寄与である輻射伝導率の和で表される。本実験で得られた結果は、固体伝導率と輻射伝導率の粒径分布変化による増減の程度によって説明されると考えられる。したがって、実験結果の解釈のためには、測定された値を固体伝導率と輻射伝導率に分離する必要がある。これは、輻射伝導率の強い温度依存性を利用し、熱伝導率の温度依存性を調査することによって可能となる (坂谷 他, 2013)。本発表では、各調製サンプルに対して熱伝導率の温度依存性の測定結果を合わせて、固体伝導率と輻射伝導率の粒径分布依存性についての結果を報告する。