日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG61_2AM2] 岩石・鉱物・資源

2014年5月2日(金) 11:00 〜 12:45 311 (3F)

コンビーナ:*角替 敏昭(筑波大学生命環境系)、藤永 公一郎(東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻)、三宅 亮(京都大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻地質学鉱物学教室)、土谷 信高(岩手大学教育学部地学教室)、座長:藤永 公一郎(東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻)、三宅 亮(京都大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻地質学鉱物学教室)

11:30 〜 11:45

[SCG61-10] Cs補正走査透過電子顕微鏡によるオリビンにおけるMg-Fe結晶内分配係数の推定の試み

*三宅 亮1藤 昇一2福永 啓一3栗林 貴弘4 (1.京大・理、2.福岡大・理、3.ファインセラミックスセンター、4.東北大・理)

キーワード:走査型透過電子顕微鏡, カンラン石, 結晶内分配係数

主要な造岩鉱物であるオリビン((Mg,Fe)2SiO4)は、結晶学的に非等価なM1, M2席を有する。M1, M2席へのMgとFeとの分配(結晶内分配係数)について、古くからX線や中性子を用いた構造解析やメスバウアー法を用いて推定されている。しかし、FeがM2席に多く入る結果とM1席に多く入るという結果が混在し、またこうした結晶内分配係数は加熱温度や冷却実験により異なることが知られている。一方近年では、球面収差補正走査型透過電子顕微鏡(Cs-STEM)と円環状の検出器により原子カラム像の観察が可能となり、高角度散乱暗視野法(HAADF)では、像強度は原子番号のほぼ二乗に比例することがしられている。そこで本研究では、化学組成の異なる合成のフォルステライト(Mg端成分)、San Carlos産、Sri Lanka産、三宅島産のオリビンを、それぞれa軸方向からのHAADF-STEM観察を行い、M1, M2サイトごとの輝度の比較を行い、Mg/Fe結晶内分配係数の推定を試みた。また、同時に四軸X線構造解析を行い、結晶内分配係数の比較を行った。その結果HAADF-STEMによりオリビンの原子カラム像を取得することができた。さらに、それぞれの席での輝度を得ることにより、結晶内分配係数の推定することができた。合成フォルステライトのサイト間の輝度には差が見られず、端成分である結果と一致した。また、それぞれの結晶内分配係数については、San Carlos産、Sri Lanka産試料は、X線構造解析の結果と良い一致を示した。一方、三宅島産の試料については差異が見られた。この理由については今後の検討課題である。