日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-EM 固体地球電磁気学

[S-EM37_30AM2] 地磁気・古地磁気・岩石磁気

2014年4月30日(水) 11:00 〜 12:45 413 (4F)

コンビーナ:*櫻庭 中(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、望月 伸竜(熊本大学大学院先導機構)、座長:望月 伸竜(熊本大学大学院先導機構)、高橋 太(九州大学大学院理学研究院)

11:15 〜 11:30

[SEM37-08] 阿蘇火山中央火口丘群における火山岩・テフラの古地磁気学的研究

阿比留 拓哉1、*渋谷 秀敏2望月 伸竜3弥頭 隆典2宮縁 育夫4 (1.熊本大学理学部、2.熊本大学自然科学研究科、3.熊本大学大学院先導機構、4.熊本大学教育学部)

キーワード:阿蘇火山, 古地磁気方位, 火山岩, テフラ

本研究では阿蘇火山の火山活動史研究に利用できる基礎データを得ることを念頭に、阿蘇火山中央火口丘群の完新世火山岩・テフラの古地磁気学的研究を進めている。これまでに火山岩7ユニットにおいて25サイトをもうけて定方位サンプリングを行った。全25サイトのうち19サイトからは95%信頼限界が5度以下の精度の良い平均方位(古地磁気方位)が得られた。その結果によれば、火山地質図において1枚に区分されていた杵島岳溶岩・往生岳溶岩・中岳新期溶岩には、形成時期が数十~数百年以上離れた複数回の溶岩流が含まれている。また、上米塚スコリア・杵島岳溶岩の2サイト・往生岳溶岩の2サイトから得られた平均方位は95%信頼限界の範囲で一致した。この古地磁気方位の一致は、複数の火口から同時期(数十年以内)にこれらの溶岩流が流下した可能性を示唆する。以上の火山岩の古地磁気方位測定に加えて、本研究では、中岳の北北東4kmのテフラ層(宮縁・渡辺, 1997)の測定も進めている。火山灰の残留磁化方位は同時に噴出した溶結凝灰岩の熱残留磁化方位と一致することから、火山灰は堆積直後の地球磁場を記録すると報告されている(Reynolds,1979; Hayahida et al., 1996; 中島・藤井,1998; Fujii et al., 2001)。自作のサンプリングツールを用いてテフラ層の22層準から定方位試料を採取し、段階交流消磁によって特徴的残留磁化の検出を行った。その結果、22層準中17層準で95%信頼限界が5度以下の精度の良い平均方位が得られた。これらの平均方位を古地磁気方位とすることで、形成時間やテフラ層序と溶岩層序の対比を検討した。その結果、N6層の大部分、N5層、N4層からは同じ古地磁気方位を得たことから、これらのテフラ層は短期間(数十年間)に形成したことが示唆される。また、テフラから得た古地磁気方位と溶岩から得た古地磁気方位が一致するものがあり、これらの火山噴出物が同時期に形成したことが示唆された。