日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GD 測地学

[S-GD21_28AM1] 測地学一般

2014年4月28日(月) 09:00 〜 10:45 413 (4F)

コンビーナ:*高島 和宏(国土交通省国土地理院)、風間 卓仁(京都大学理学研究科)、座長:松尾 功二(京都大学 理学研究科)、古屋 智秋(国土交通省国土地理院)

10:15 〜 10:30

[SGD21-06] マルチGNSSによる高精度測位技術の開発-統合解析の実現に向けて-

*古屋 智秋1酒井 和紀1万所 求1辻 宏道1山口 和典1宮川 康平1矢萩 智裕1畑中 雄樹1宗包 浩志1川元 智司1 (1.国土交通省国土地理院)

キーワード:GNSS, 測量, ISB

国土地理院では、平成23年度より、国土交通省総合技術開発プロジェクト「高度な国土管理のための複数の衛星測位システム(マルチGNSS)による高精度測位技術の開発」(平成23~26年度)として、これまでGPS測量が困難であったビル街等を含め、国土管理に必要な高精度測位の効率的な実施のため、米国のGPSをはじめ、日本の準天頂衛星、ロシアのGLONASS、EUのGalileoといった各国の衛星測位システムのデータを統合的に利用するマルチGNSS高精度測位技術の開発及び標準化に向けた検討を進めている。平成25年度は、受信機の各衛星系回路間の遅延差に起因して発生する受信機ハードウェアバイアス(ISB)について複数の受信機・観測条件で検証を実施し、異なる衛星系間でも位相差を取る解析(統合解析)の実現に向けてISBの補正方法を検討した。検討の結果、GPS-GLONASS間では温度やアンテナ等の観測条件の違いでISBが大きく変動し、GPS-準天頂衛星間、GPS-Galileo間では安定していることが判明した。また、東京海洋大学で開発されたオープンソースの測位ソフトウェアであるRTKLIB v2.4.2(Takasu, 2013)をベースに、Galileoや3周波解析が可能な測量用解析ソフトウェア(GSILIB)を開発した。また、準天頂衛星を含むマルチGNSSの観測が可能な受信機を利用して、日本全国8地区(苫小牧、つくば、長崎、糸満、東京、大阪、甲府、徳島)においてGNSS衛星の試験観測を行い、それら観測点を組み合わせてできる様々な基線について、GPS信号のみで測量をする場合、準天頂衛星・GLONASSを加えて測量をする場合、複数の種類の受信機を用いて測量をする場合の各場合において解析を実施し、マルチGNSSの効果や課題を評価した。特に東京地区においては、観測条件の厳しい複数の箇所で観測を実施し、都市部におけるマルチGNSSの可能性を評価した。なお、プロジェクトの実施にあたっては、外部有識者委員会を開催し、大学や関係機関のアドバイスを得ている。また、平成25年度は、ISBの補正方法の開発・検討にあたっては日立造船株式会社・東京海洋大学、GSILIBの開発にあたっては三菱スペース・ソフトウエア株式会社、試験観測にあたっては株式会社パスコが国土地理院の外注作業により実施した。(プロジェクトホームページ:http://www.gsi.go.jp/eiseisokuchi/gnss_main.html)